「いや、全て予想通りだったよ。」
なにやら、鳳仙圭が自慢し始めた。
おそらく、無事に逃げたと思っていたアケミが、再び操り人形として此処に居る事を語っているのだろう。
鳳仙の呪術は、どんなに離れていても、特定の人間を操る事が出来る。 アケミは皇金と一緒の時に、鳳仙圭に操られた。
その時の皇金の様子も、笑いながら自慢気に語っている。
しかし、雪之絵真紀や命は勿論の事、貴時も、『他人』になど構っている余裕は無かった。
三人が、鳳仙圭の言葉に耳を傾けたのは、話が自分達の事に移った後である。
む
「...しかし娘さん。君は、あたり前の様に泣いているが、」
「果たして、泣く資格が君にあるのかな?」
「アケミから聞いたよ!君は父親を罵り、その場から逃げ出したそうじゃないか!!」
「悪霊に操られていようが、トドメを誰が刺そうが関係ない!」
.
「鳳仙圭...」
「...命、いい?」
「命、解るわね?」
命が黒い瞳になる前、鳳仙圭は、雪之絵真紀に恥をかかされ逃げ出した。
拍手しながら登場したのも、命を傷付けて雪之絵を怒らせたのも、先程と同じ状況を作り出し、その上で借りを返したいという一念からだ。