力なく座り込んだ貴時とは違い、命は未練がましく倒れた京次の体をゆすり続ける。
しかし、その行為は、いずれ訪れる皆月京次の死を強く意識する結果にしかならなかった。
普段、何かとベタベタと触った京次の体は、弾力と硬さの両方を備えていた。しかし、今は切れたゴム紐のように弛み緩んでいる。
「う...」
嗚咽とともに手が止まりかけた命だったが、一層力を込めて京次の体を揺する。
今まで、命の呼びかけに京次が答えなかった事は一度も無い。
命が構って欲しい時、京次に無視された事は一度も無い。