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クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

 静まり返る部屋の中、京次が顔を上げる。 俯く命は、何時の間にか京次を掴んでいた手も離していた。

「命、」 

「...おかしいな、私って結構魅力的だと思うんだけどな。」

 顔を上げない命が呟いた声は、小鳥のさえずりのように小さく、かすれている。

「好きとか言われてその気になって、私、馬鹿みたいだね。」

「命?」

「ここまで相手にされないのは、全然好かれてない証拠だよね。」

「命、違うたろ!?命の事が一番大切で一番好きなのは確かなんだよ! 俺は、命の親なんだから!」

「それは、絶対ないよ。私解ってるもん。」

「命、やけにならないでくれ。 俺がお前の事を大切なのは、絶対間違いないんだから。」

「私の事を大切なのは、娘だから?」

「その通りだ。」

「......」

「......」

「...じゃあ聞くけど、」

「パパは、何で私に会いに来てくれなかったの?」

 この時、上げた命の顔は、目の笑っていない笑顔だった。

  今まで一緒に暮らして来て、命のこんな表情は、ただの一度も見たことがない。何の話なのか解らないのも加わって、京次は冷たいものを背中に感じて息を飲んだ。

「大切な娘に、パパは何で会いに来てくれなかったの?」

「な、何の話だ?」

 京次がろれつの回らないまま、言葉を返すと、それを聞いた命は、首をかしげて悲しそうに京次を見上げた。

「忘れちゃったの? 」

「だから何を?」

「パパにとっては、やっぱりその程度なんだよね?」

「命...」

「でも、いいんだ。パパが、私の事を邪魔に思ってるのなんて、とっくに解ってるもん。」

「だから何の話だ!?」

 思わず声を荒げてしまい、すぐに反省した京次だったが、それに関して命は、まったく気にしている様子は見せなかった。

 しかし、それは見せなかっただけ、

 命の浮かべていた微笑と共に、心の中の本当の壁も崩れ落ちた。

「貰ったんでしょ?ママと私が一緒に写っている絵葉書を。」


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