「...サラ、電話誰から?」
当然ながら、そんなはずは無い。
今、サラが話している電話の相手は、サラの現在の生活と、エデン母に負わされた京次の怪我を心配した、陸刀アケミである。
「サラ。 俺が寝込んでて、美味い物を買って来れないからって、そんな邪険にする事ないだろ?」
「うるさいな!いいから引っ込んでろ!!」
サラの一喝食らって、京次はしぶしぶ頭を引っ込める。
『ちょっとサラ!? 京ちゃんに私からの電話だってバレないようにしてよ!?』
アケミの声が、電話の向こうから受話器を通して京次にも聞こえた。
「平気よ。 皆月京次はヘボ親父だから、そこまで気が回らないわ。」
京次にはアケミが陸刀家の人間であると、とっくの昔にバレている。 サラはそれを知っているので、今更アケミと連絡取るのにコソコソする必要はない。
『サラ? あなたは大丈夫? 辛い事とか無い?』
「別に? 皆月京次は信じられないくらい甘チャンだからね。 食べ物もしっかり用意してくれる便利な男よ。」
『ま、まあ、京ちゃんは優しいからね。』
「そーね。いっつもミコトや私の顔色伺いながら生活してるからね。」
「
「ひでーよ...サラが口悪いの知ってるし、確かに食べ物で気を引こうとした部分があるのも、認めるけどさ。」
「......」
「...ん?」
今まで一方的にしゃべっていたサラが、突然静かになったのに気が付き、振り返る。
気配を感じ取るのが得意な京次なので、サラの雰囲気がガラリと変わった事にも気が付いた。
「今日、連絡入れた本当の理由は、そんなことじゃないのよ。」
『...でしょうね。』
『......』
「......」
」
」
「勿論よ。」
『...そう、なの?』
「用件は終わりね? それじゃ電話切るわよ?」
『あっ...』
アケミがまだ何か言いた気なのは解っていたが、それでもサラは、受話器を置いた。