自分の名前が呼ばれたのが引き金となり、その場から逃げだそうとする命。 しかし、立ち上がる前に足を縺れさせ、自分の愛液の水溜まりの中に顔から突っ込んだ。
「ええ!?」
濡れた廊下を睨み付けて憤る命だったが、足か縺れたのは、愛液で滑ったからではない。
抜けてしまった腰は、まったく回復しておらず、命の両足は力が入らなかったのだ。
「な、何ょ...」
何に対しての言葉なのか、命自身も解らなかったが、兎に角この場から逃れようと四つんばいのまま、両足を引きずるようにして廊下を進んだ。
この後におよんでも、まだ股間からは愛液が流れ続け、命のたどった場所には濡れた後が筋となって続いていた。
まるで、ナメクジのようだと自虐的な事を思いながら、それでも自室に逃げ込もうと這いずって行く。
「くそっ!」
歯を噛み締め、はき捨てるが、その目には涙が溢れていた。
ショックの為に我に帰った命は、混乱する事もなく、今何が起こったのか、しっかりと理解していた。
最愛の男である皆月京次が、別の女を夢中になって抱き、
その女が男の腕の中で幸せの絶頂を味わっている時に、
自分はそんな様子を眺めながら、一人おこぼれを貰って喜んでいた。
「くそっ!!」