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クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前に歩く−

 咆哮とも取れる荒々しい京次の息吹と、陶酔しきった詩女の喘ぎ声が、京次の腰の動きに呼応して聞こえてくる。

 気配を読むのが得意な京次が、側にいる命にまったく気が付かないくらい女の体に夢中だ。

 噛み締めた命の歯が、ギリッと音を立てる。

 嫉妬の為に、タケ子との行為の余韻など消し飛んだ命が、二人の間に乱入しようと襖に掛けた手に力を入れる。

 しかし、体は何故か言う事を効かなかった。

 自分の意志を無視し、自由にならない体。 そして同様に、京次が他の女を抱く姿など見たくはないのに、絡み合う二人から離す事の出来ない視線。

「な、なんでょ...」 絞り出したうめき声。

 悔しい。

 今まで、ただの一度も自分には見せた事のない獣のような姿で、女の子宮に自分の精子を送り込もうと腰を降り続ける皆月京次。

 理性と感情は、悔しさに大声で泣き喚きたいと訴えかける。 暴れて二人を止めろと命令する。

 しかし、それが出来ない。

「な、なんでょ...」 再び、うめいた命ではあったが、その理由は股間から溢れ出した愛液が証明していた。

 自分とタケ子の”お遊び”とは訳が違う。 男と女の本物の”SEX”。  男として、激しく腰を振る皆月京次に、命の心が奪われたからに他ならない。

「はぁ...」

 その事に自身も気が付いた命の口から、甘く切ない吐息がもれた。

 襖から離れた手が股間へと伸びる。 震えたその手は自由が効かず、目的地までしばしの時間を要した。

 そして、その手がやっと思いで股間にたどり着いた瞬間、突き上げられるような快感が命を襲う。

「!!」

 思わず上げそうになった、悲鳴をかみ殺した。

「.....」

 京次と詩女の動きに、まったく変化が無いのを見て、自分の存在に気が付かれていないと確認した後、股間に持って行った指でクリトリスを触る。

「くっ、」

 途端に、足が震え腰が砕けそうになった。

 尋常では無いこの快感。 視界が薄れて目蓋を開けるのも困難だ。

 しかし、この快感が視覚から得ていると知っている命は、瞬きすらも惜しんで京次の行為を見続ける。

「はぁはぁ、はぁ、はぁ、」

 京次の腰の動きに合わせ、自分の指もクリトリスを削る。

 自慰を始めて一分足らず。しかし、命の足元には、タケ子の作ったものなど比べ物にならない程、大きな愛液の水溜まりが出来ていた。

「はあ...?」

 この時、皆月京次が詩女から体を離した。

 気が付かれたのかと、焦った命だったがそうでは無い。

 今まで正常位だった体位を変えようと、京次が詩女の体をひっくり返したのである。

「!!」

 この時、命は本当に腰が抜けた。

 全身にある神経の全てに電気を流されたかの様なエクスタシー。

 腰砕けになった命は、前のタケ子同様、愛液の水溜まりの中にベチャッという音を立てて腰を落とした。

 命は、見たのである。

 京次が詩女をひっくり返し、その膣に挿入するまでの間の短い時間ではあったが、確かにそれは命の網膜に焼き付いた。

 京次の、女に子供を孕ませる為にそそり立つ、男のペニスを。

 過去、一緒にお風呂に入った時に、京次の性器は幾らでも見た事はある。 しかし当然ながら、男の主張はしていない姿だった。

 京次の男としての本当の姿を見た時、クリトリスが激しく反応し、命は絶頂に達してへたりこんだのだが、クストリスを刺激したのが触っている指とは思わなかった。

 まるで、子宮が今見た物を欲しがり騒いだような、 内なる場所から命じられたような、そんな刺激だった。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ!」

 興奮の為に酸欠になりかけた命が、大きく息をつく。

 割れた股間から、延々と流れ続ける愛液をその目で眺めながら、自分の胸を揉みしだく。

「はあ!」

 絶頂を迎えた股間は敏感になにっているが、命はそれでも、愛液垂れ流しの股間に再び指を這わせた。

 クリトリスは勿論、ワレメの中も乱暴に引っ掻き回す。 指先に当たる処女膜も破ってしまいかねない勢いだが、仮に破れてもかまわないと思った。

「ううー、くう、はあっ、ふぅ、」

 そして、今の京次の姿を一時も見逃すまいと、顔を上げる。

 しかし、命は気が付いていなかった。

 襖の向こう。居間の中の騒ぎがピタリと止まっていた事に。


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