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クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

 どこまでも続く廊下に、無数に存在する部屋。

 雪之絵真紀は、無言で部屋の扉を開けた。しかし、その部屋の中はカラッポで、人はおろか家具の一つも無く、生活感を微塵も感じさせなかった。

 もう幾つの部屋をこうして調べただろう。 途中三十までは数えていたが、それ以降は忘れてしまった。

 未だ娘の命は見つからないが、一階の部屋に命が居るとは雪之絵真紀も考えていない。

 命が今正に危険な状態ならば、怪しいと思う部屋にアタリを付けて一番に向かうのだが、幸い京次の脅しが効いているので、鳳仙圭は命に手出し出来ないでいる。

 時間は掛かっても、端から順番に部屋を調べて行った方が確実であろうと考え、これまでの部屋を全部調べながら、ここまで来たのだ。

 でも、正直うんざり。 そう考えた時、廊下の行く先に人の気配を感じ、視線をそちらに向けた。

「はいはーい、雪之絵真紀さん、ここまでですよーっ。」

 それと同時に聞こえた、元気で明るく、この場には似つかわしくない声。

「あなたのお相手は、僕達がいたしまーす。」

 雪之絵真紀の父親である雪之絵御緒史が雇った殺し屋は、『白い死神』と『エデン』のみ。  つまり、突如現れた三人は、鳳仙圭の手の物という事になる。

 鳳仙圭の雇った殺し屋の数は、全部で七人。

 竜王と雀将、それからアパートで命とサラメロウが撃破した二人の男達で計四人。 確かに残りは三人だから、数は合う。

 しかし、その鳳仙圭は雪之絵真紀に直接用事があるから「廊下を右に進め」と言ったのだ。 てっきり、残りの三人は、全員、皆月京次に向かうと考えていた。

 雪之絵が無表情ながら不思議に思っていると、黒い大男の肩からおさげ髪の子供がピョンと飛び降りて、その疑問に答えた。

「雇い主の鳳仙圭が言ってました。 『エデン母あたりに互角の戦いしているような女なんて、俺は欲しくない』だって。」

「自己紹介しますと、僕が鈴印栄(りんいんえい)。コントレラスさん。鼓四季(こしき)さん...」

「僕たち全員、エデン母よりも強いですよーっ。」


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