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クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

 ベッドの上で、壁を背もたれにした命が、ラメ入りの紫の服を手にとって眺める。 先ほどまで、タケ子が着ていた服だ。

「奇麗な服だね。 タケ子の一張羅?」

「そう、だけど、命、そんな事より...」

「恥ずかしよ...」

 命の目の前で、一人全裸で立つタケ子が、言葉通り恥ずかしそうに身をよじる。

 『脱いでくれないと、何も出来ない。』と命に言われて、素直に脱いでみたが、そのまま放ったらかしにされているのだ。

 まるっきり、晒し者の気分である。

「何で?タケ子、スタイル良いから見ていたいのに。」

「止めてよ!」 思わずタケ子の語尾が荒くなる。

 別に、命に体を見られるのが嫌な訳ではないが、命からスタイルを誉められるのは屈辱以外何物でもなかった。 命の方が良い体をしてるのは、誰が見ても明らかである。

 勿論見るのは服の上からだが。

「そう...」

 悲しそうに表情を曇らせた命がおもむろに動き出し、ベッドに座ったまま自分のスカートの中に両手を突っ込んでスルスルと白いショーツを脱ぎはじめた。

 今まで身に付けていた下着が、命の細くて長い足を滑る。

 途中、足首のくびれに一回引っかかったが、少しだけ伸びた後、弾けるように外れた。

 脱ぎ終わり、ベッドの上に放られた下着は、今まで無理矢理伸ばされていた分を取り返すかの様に、小さく丸くなる。

 その様子を凝視しているタケ子。

 下着に釘付けになっているタケ子を尻目に、命は両膝を立てて股を開く。

 アルファベットのMの文字を造った命の両足。 当然ながら、命の性器はタケ子に晒されている。

「命...」 タケ子は、命が、こんな大胆な格好を自ら行った事に対して驚きつつも、それ以上に、美しい命の性器に心奪われた。

 過去、薄暗い便所の個室で、立ったままの状態で見た時とはまるで違う。

 型くずれは言うに及ばず、色素の付着などありえない。 きめ細やかな肌に、物差しで図ったかの様な、真っ直ぐな一本の線。 命の性器は、『ただそれだけ』だ。

 タケ子が、命に恋心無く、一人の友達として見たならば。 あまりの自分との違いに、不公平な神を怨んだ事だろう。

 血走った眼で、自分の股間を凝視するタケ子を眺めながら、命が少しだけ口を開いた。

「嬉しいな。タケ子に見られるのって、私嬉しい...でも、」

「タケ子は私に体見られるのって嫌なんだね?」

「そっそんな事ない!! 私だって嬉しいに決まってるじゃない!!」

 命の言葉に、我に帰ったタケ子が、今まで自分の体を隠しぎみにそえていた両腕を開いて見せた。

「ふふ、ありがと。 そう言ってくれると思ってたわ。 だって、タケ子は私の事を好きなんだもんね?」

「そ、その通りよっ。」

「うん。 私も見られたい。 だからもう少し、そこで見ててね?」

 命は、晒している性器に自分の指を押し当てる。 そして、上下にゆっくりと動かした。

「あん。」

 途端に湿った声を上げ始めた命。 それを、タケ子が呆然と見ている。

 目の前で行われる、好きな人の自慰行為。 命の自慰は、そんなに激しくはなかったが、タケ子を高ぶらせるには充分過ぎる。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

 否応無く、タケ子の息は荒くなる。 下ろしていた両手が持ち上がり、自分で胸と股間を慰めようと動き出す。

 タケ子のその両手は、小刻みに震えていた。

「あん、ダメよタケ子。」

 命の言葉に、タケ子の動きがピタリと止まる。 その手は、股間と胸を触る寸前だった。

「な、何で?命のそんな姿見たら、私だって我慢出来ないよ。」

「タメよ。 タケ子は、私が気持ち良くしてあげるの、自分で気持ち良くなっちゃ嫌。」

 鼻に掛かった甘えた声で言いながら、タケ子の股間を指差す。 つられてタケ子が自分の股間を見下ろすと、何時の間にか流れていた愛液が、内股を流れ落ち、フローリングの床に小さな水溜まりを作っていた。

「あ、」

「ね? 折角、私の力でタケ子を気持ち良くしてると思って喜んでいたのに...それとも、私じゃ、タケ子を喜ばせる事って出来ないのかな?」

「そ、そんな事は無いわ。」 そう言う、タケ子の表情は苦悶に満ちている。

 こんなの蛇の生殺し以外のなんでもないのだが、元々経験の少ない命が、本気で言ってるのか意地悪しているのかタケ子には判断しかねた。

「じゃあ、自分で勝手な事したら駄目だよ? 絶対私がタケ子気持ち良くするんだから。」

「わ、解った、けど、このまま放っておかれるのは幾らなんでも辛いわよ。」

「そっか、それじゃあね。」

「私のここ、舐める?」

 そして、再び、先ほど見た悪魔か天使か解らない命の笑顔。

 タケ子は生唾を飲みこんだ後、錆付いたオモチャの様にぎこちなく肯く。

「そう、それじゃ、こっち来て後ろ向いて?」

「?」

 言われるままに、ベッド上の命に近づいた後、クルリと回転して背中を見せる。 性感帯である背中を触ってくれるかもと期待していたタケ子だったが、それは思いっきり裏切られた。

 両方の手を捕まれ、後ろに引っ張られたと思った途端、ガチャリと鍵が閉まる音が聞こえた。

 そして、両手首に感じる冷たい金属の感触。

「あっ!」

 焦ったタケ子が、声を上げたが後の祭り。 後ろ手に手錠を掛けられてしまったのだ。

「命!何するのよ!!」

「だって、こうすればタケ子、自分で気持ち良くなる事出来ないもの。」

 勿論、この手錠もタケ子自身が持ってきた物である。

 今日、タケ子は命の処女を何としても奪うつもりだった。 もし、どうしても命が嫌がるなら、この手錠で自由を奪おうと考えていたので、本来なら文句を言えた義理では無い。

「...カバンの中の道具、使ってもいいって言ってたよね? それとも、自分が使われたら嫌な物を、私に使うつもりだったの?」

 じっと覗き込む命に、タケ子はぐうの音も出ない。 今の言葉も、本気で聞いているのか、嫌味なのか、それも判断付けかねた。

「...そんな事ない。勿論何でも使っていい。」

「そうだよね。 それじゃ、続きしようか?」

 まるで見せ付けるように、命の両足がゆっくりと開かれる。

 両手の自由を奪われて、不安になっていたタケ子だったが、そんな命の姿を見て、再び発情した。

 手は使えなくても舌は使える、という短絡思考で落ち着いたタケ子は、その場跪いて命の股間に顔を近づけた。

「はい、あーん。」

 命の奇麗な性器を舐めようとした矢先、命の意味不明な言葉が頭上で聞こえ、つい見上げてしまった。

 それを待ち構えていた命は、タケ子の半開きになっていた口の中に、白いものをねじ込んだ。

「!!」

 驚いて齧り付くが、命は素早く指を抜く。

「あん、そんなに驚かないでよ。 タケ子が舐めたいって言ったんだよ?」

「!?」

 タケ子が、使えない両手の代わりに、口の中に押し込まれた物を舌で押し出そうとした時。 口の中一杯に『命の匂い』が広がった。

 続いて、舌から伝わるのは、汗より若干濃い味。

「そ、私のアソコと間接キスね。」

 命にはしゃぎながら言われる前に、それが何なのかはタケ子にも解った。 先ほど命が脱いだショーツである。

 タケ子は少しだけ命を睨んだ後、口の中のショーツを押し出そうと試みる。 ご丁寧に、ショーツの汚れた部分が舌に当たるようにねじ込んだらしく、舌を使う度にオシッコのしょっぱい味がした。

 タケ子の顔に、怒りとは違う赤味が差す。 正直、舌が命の下着に当たる度に興奮を覚えている。

しかし、流石にプライドがそれを良しとしなかった。

 何故か面白そうに微笑んだ命は、再び自慰を開始する。

 ワレメを指一本でなぞるだけの簡単な行為。 しかし命は、必要以上に喘ぎながら、身をくねらる。

「あぁん、...ねぇ、タケ子? 私を想ってオナニーする時ってあるの?」

 口の中の下着もそのままに、命の妖しい動きを瞬きもせずに見入ってしまったタケ子は、視線を股間から外すことなく肯く。

 命を想っての自慰など、そんなの毎日である。

「私もね、たまにあるんだよ? 保健室で触ってくれた事とか、便所の個室でした事とか、丁寧に思い出しながら。」

 タケ子の目が見開かれた。 命は、微笑を浮かべた後、大きく喘ぎだした。

「ふぁっ!ああん!いやっ、ああん!! あの時、気持ち良かったよ!お願いっ舐めて?!」

 初めて見る、命が自ら望で行う淫乱な行為。 

 そして何より、命がこの行為を行う時、自分を想っていると言う衝撃の告白。

「...ふう、ふう、ふう、」

 鼻で息をしているケ子の口が、もごもごと動き出す。

 興奮が臨界を超えたタケ子が、プライドをかなぐり捨て、自分の意志で、命の下着を弄り始めたのだ。

 口から下着が零れ落ちないようにしっかりと齧り付き、舌で汚れを削ぎ落とす。 おそらく、命の局部を直接舐めるよりも、強い匂いと味。 

 タケ子の股間から、大量の愛液が溢れ出し、フローリングに広がる水溜まりは更に広がりを見せている。

 興奮は既に最高潮。 しかし、絶頂は迎えられない。

 命は、相変わらず局部を見せつけ、色っぽい声を上げながら身悶え続けている。

「んーーーっ!!」

 とうとう、ジレンマに苦しむタケ子が騒ぎ出した。 どうしても、視覚と味覚、嗅覚だけではエクスタシーに届かないのだ。

「命!!お願いよぉっ!!このままにしないでぇ!!」

 口の中の下着を吐き出したタケ子が、悲痛な声を上げた。

「......」

 タケ子は、べちゃりと愛液の水溜まりに尻餅を付いて、肩を震わせ泣き始める。 それを見た命が、四つんばいになって、のろのろとのんびりした動きでタケ子の側までやって来た。

 ぐしっ、ぐしっ、と声を上げて泣き続けるタケ子が、近寄ってきた命を見上げる。

 涙は勿論、鼻水とよだれを垂れ流して泣く様は、子供以外の何者でも無い。

「本当に、しよっか?」

 優しく囁いた、命の言葉に、タケ子はもっと大きく泣きながら肯いた。

 ただ、一つだけタケ子は気が付いていない事がある。

 もっと、命の股間を注意深く見れば解る。

 タケ子を魅了した命の自慰行為。 あれは、全てが”演技”である。 その証拠に、今現在、命の股間からは一滴の愛液も流れてはいない。


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