,り
命の言ったように、自分だけ大事な所を見られるというのは、想像以上に恥ずかしい。
しかしタケ子は、羞恥心を真っ赤に染まった顔で表しながらも、自分の体を見る命の反応が知りたくて、視線はそのまま、命の顔に注いでいる。
しかし命は、タケ子の思惑とは違い、あらわになった胸よりも、タケ子の仕種の方に気を取られていた。
保健室での事といい、今回の事といい、ほとんど無理矢理、命に迫っていたタケ子が、今は命の視線に羞恥を感じ、それに堪えている。
立場が完全に逆転している事に気が付いた命の背筋に、今まで感じた事のない不思議な感覚が走り回る。
命には、その正体がなんなのか解らなかったが、少なくとも、とても気分は良い。
「ね、言っとくけど、私、タケ子と違って経験ないから、あんまし上手くないと思うよ?」
必要以上に期待されては困ると思って言った命の言葉に、タケ子はムッとした様子で睨み付ける。
「失礼ねっ、私だって経験ないわよっ。」
「ホント?」
「だったら調べてみればいいじゃないっ。」
唾を飛ばして声を上げていたタケ子の唇を、何の前触れもなく、命の唇が塞いだ。
「!?」
命の舌がタケ子の口内を縦横無尽に動き回る。 以前、保健室で命からキスされた時は、ただ唇を押し当てられただけの、まだ知識の欠片も感じないような子供のキスだったはずだ。
たった一週間の間で段違いの上達を遂げている命のキスに、しばらく面食らったタケ子だったが、すぐに気を取り直して自分も舌を使って答えようとする。
しかし、形その物を変えているのではないかと思うほど、自在な動きをする命の舌に、タケ子の舌は付いて行けなかった。
焦るタケ子を尻目に、命の舌は動きの止まったタケ子の舌を揉み解し、舌の裏と横奥にある性感帯を舌先を捻じ込ませ刺激する。
命の舌使いは、タケ子の内にある”女”を無理矢理引きずり出した。 キスしながらタケ子の息に甘い吐息が混ざり始める。
だが、それと同時にタケ子は焦りも感じていた。 命はエッチ初心者だから、色々レクチャーしながら、自分の体をゆっくり愛してもらおうと思っていたのだ。
しかし、命の技術はタケ子を遥かに凌駕し、キスだけで、身悶える様な快感を感じさせる。
命は、キス以外も上手なのだろうか?
そう頭を過ぎった時、その頭を後ろから、命の手が鷲掴みにして固定した。
「!?」 驚いて、思わず命の唇から逃れようとしたタケ子だったが、命はびくともせずに、タケ子の唇を貪る。
タケ子の白い膨らみは、乱暴とも言える命の手の動きで、ひたすら形を変えた。
しかし、手の平で、乳首を摩擦する命の愛撫は、痛みを感じると共に信じられないほど気持ち良い。
命は、無理矢理タケ子を絶頂に向かって登らせて行く。
「っっっっっ!!」
命の愛撫の為に、自分の意志を無視し、体と精神が虫食まれている。
今の現状に恐怖を覚えたタケ子が、胸を弄る命の手の動きを止めさせようと、腕を畳んで胸元に持って行こうとするが、命も自分の肩をタケ子の肩に密着させる事によって、その邪魔な腕の入り込む余地を与えない。
当然、そんな攻防の最中でも、執拗なキスと胸の愛撫は続いている。
胸を守るのを諦めたタケ子は、吸い付き結合している命の唇を何とかしようと試みる。
力で引き剥がすのは無理と踏んだタケ子は、少々危ない方法を取った。 口の中を嘗め回す命の舌を、歯で軽く噛んだのだ。
「!」 驚いた命の舌が引っ込む。
勿論、痛く噛んだ訳ではない。 ただ、今のように舌を引っ込ませるのが目的である。
異物が口内から居なくなったのを確認したタケ子が、二度と潜入されないように、歯を力いっぱい噛み締めた。
いくら命でも、アゴの力を負かせて舌を捻じ込むなど出来るはずがない。
そう思い、安心して、文字通り密着するほど近くにある命の顔に、視線の焦点を合わせてみると、事もあろうに命はボロボロと涙を流して泣いていた。
「!!!」
思わず力の抜けるタケ子のアゴ。 途端に命の舌がタケ子の口内に捻じ込まれた。
再び、今までの再現。
タケ子は、口と乳房を、今まで味わった事のない技術で責め立てられる。
「おねがい、もう、やめて。」
進退極まったタケ子が弄られる舌を使ってなんとか言葉を絞り出す。
「だから、いってるのに、私うまくないよって?」
責めを緩める事なく、命が答える。
繋がった、口を経由して、言葉が交換された。 しかし、命は勘違いしている。 今にも、絶頂を迎えてしまいそうなぐらい上手いから、タケ子は困っているのだ。
「私、頑張るから、もうちょっとガマンして。」
この前の保健室での事が、タケ子の頭の中に過ぎる。 しかし、命は、タケ子の中に入ろうとはしない。
瞬時に起る、命の手とタケ子の秘所の、容赦のない乱暴な摩擦。
「!!!!!」
口をふさがれている為、タケ子に喘ぎ声はない。
ただ、摩擦の為に捲れあがった四枚の陰唇と、隠れていたはずのクリトリスを嬲られる快感に打ち震えるだけ。
一瞬でも気を抜いたら、絶頂に気絶してしまうかも知れないほどの快感。 しかし、タケ子は納得出来なかった。
タケ子は今日ここで、自分の体の温かさと柔らかさを命に知って欲しかった。自分も優しく命を抱きしめるつもりだった。
しかし今タケ子は、無理矢理に絶頂を迎えさせられようとしている。 こんなの、犯されているのと変わらない。
そう思い、是が秘でもイクまいとガマンするタケ子の耳に、再び命の言葉が届いた。
納得出来ずに、守っていた、タケ子のプライドという名の牙城。
しかし、それは命の言葉によって、あっさりと崩壊した。