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「それでは、本題です。」
「?」
「京次さん、命さんと、キス以外にどのへんまで許したのですか?」
高森の突然の言葉に、京次は本当にひっくり返った。
「何もしてないっ!突然何言い出すんだ!?」
転がった丸イスを直しながら、京次が喚く。
「本当ですか?」 半信半疑の高森がにらんでいる。
まあ、こんな顔が出来るなら、少しは元気が出て来た証拠。 京次はそう思って、落ち着きを取り戻し、直した丸イスに改めて腰掛ける。
「正直言うけどな、今回は自分の不甲斐なさを痛感している所だ。」
どうやら、少し真面目な話らしい。それを理解した高森は、これ以上下手な事を言わない。
「命は母親によく似てる。 それでも良い子に育ったのは、俺という父親が側にいたからだと思っていたんだがな。」
母親の雪之絵真紀が、義母はともかく実父にさえ愛されていなかったのを京次は知っている。 命が現在、良い子なのは、これまで京次が命を大切にしたからだと思っていた。
『命は良い子、』この部分に納得できなくて頭を抱える高森を余所に、京次は続ける。
「どうも、それは違っていたようだ。きっと命が良い子なのは、高森や、タケ子ちゃん、カズ子ちゃんの様な友達に恵まれたからなんだろうな。 感謝してるよ。」
切々と感謝の言葉を述べる京次だったが、命が今の様に育ったのが、自分達のせいだと言われても、高森は全然嬉しくなかった。
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しかし、京次の言った事は、あながち間違ってもいない。何故なら。
命のワレメに入れた指で、処女膜を撫で回す。
「だ、たから言ったでしょ?まだだって...だから、もう許して。」
「どうして?気持ちよ良さそうなのに。」
大陰唇を丁寧に捲り、中の小陰唇を摘まむ。
「あんっ、...だって、汚れちゃうから、」
命の言う様に、随分前から、愛液が滴るのを内股で感じている。 タイルの上に水溜まりを作らないのは、タケ子が舐め取っているからだ。
「だから下着脱いでいるんじゃない?」
確かに、命のショーツは、タケ子が握っている。
「そうじゃなくて、スカート!」
「じゃあ、スカートも脱ごうか?」
タケ子の左手がスカートの中から伸びて、腰の横にあるはずのホックを探るが、命は慌ててその手を押さえつけた。
「いやよっ、見られるの恥ずかしいからっ!」
どうやら、命はスカートが影を作る事で、自分の性器が見えていないと思っているらしい。
当たり前だが、薄い緑色のスカートが影になった所で、視界がゼロになるはずがない。
スカートに顔を突っ込まれた上に、指で大事な所を散々弄られていて、まだ見られている事に気が付いていない命は、タケ子からすれば、とても可愛い。
「恥ずかしいって、とっくに全部見えてるんだけど...。」
タケ子は小陰唇を捲った後、ちっちゃなクリトリスを指先で突つく。
「!!」
体を走り抜けた電流に、思わず上げそうになった大声を何とか飲み込む。 ここは、トイレの個室。 タケ子と二人で入ってから、既に何人もの利用者の足音が聞こえている。
声を上げるのは絶対にマズイ。 こんな所に二人で入っているのがバレたら、言い訳のしようがない。
「うっ、嘘っ、見えてるの?本当に見えてるの?」
「見えてるよ?そうでなきゃ、こんなに、的確に触れないじゃない。」
命の大事なヒダヒダを、丁寧に、宝物でも触るかの様に優しく触る。
「ヤだよっ。私だけ見られてるなんて、恥ずかしいよっ。」
途端にタケ子が、顔をスカートの中からひょっこり出した。
「命、私の裸、見たいの?」 何だか、とても嬉しそうだ。
「別に...ただ恥ずかしいだけだけど。」
ぞんざいな命の言葉に落胆の色を隠せないタケ子だったが、レズでない命が、タケ子の責めを受け入れているのは、あくまで愛撫が気持ち良いからでしかないのは解っている。
親離れ出来ない子供のままの命が、性に対して興味を持ち、その相手が今の所タケ子しかいないだけだ。
少しだけ考え込んで、何かを思い付いたらしいタケ子が立ち上がる。
ただし、命の方は陰部を弄られて腰が抜けかけているので、タケ子を掴んで放そうとしない。 便所で転ぶのは絶対イヤだ。
終わり?そう言おうと思った命を、正面からタケ子が見つめる。
??
「う、うん。」 話の内容が、百八十度変わった事に面食らって、ぎこちなく肯く。
陸刀のヒットマンが教室を襲った一件は、命自身も大きな傷として心に残っているので、見た事は全て鮮明に覚えているが、その話をタケ子がこの場で仕出すとは思わなかった。
「私、今でも、胸やアソコ、お尻にまで、あの男の手の感触が残ってる。どんなにお風呂で洗っても消えないの。」
視線をそらして告白するタケ子の言葉を聞きながら、命が青ざめる。
あの時の侵入者は、元々命だけが目的だった。 タケ子は初めとして高森とカズ子の怪我も、全て巻き込まれた被害者なのだ。
当時者の命は、タケ子達三人に対しては、言葉には言い表せないほど申し訳ない気持ちで一杯だった。
「命の手や唇で、あの男の手の感触を忘れさせて。 私の体を触った事のある人間が、あの男ただ一人だなんて堪えられないのよ。」
告白を聞き終えた命が、泣きそうな顔でタケ子を見つめる。
侵入者の太郎に体を弄られた感触が今でも消えないのは事実であるが、その事に対して、命が負い目を持っているのも知っているので、タケ子自身もこんな事を言うのは辛い。
しかし、こうでも言わないと、命はその気にならないと思った。
「ダメ?」
追いつめられた様に、上目使いで見つめるタケ子に、命が小さい声で答えた。
「ダメじゃない。」