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「あふっ、はっ、あんっ、うん!」
声を洩らし、形を右に左に変えながら、命の唇と舌が京次の口外口内の至る所を這い回り、貪り食らう。
経験豊富な京次ですら、一度も味わった事のない激しいキス。 あのアケミも、以前の雪之絵 真紀も、こんな激しいキスはした事がない。
文字通り、積年の思いの丈を知らしめ、遂げる為の口付け。
いや、京次は、命のこの行為は『キス』『口付け』などと言う言葉では生ぬるいと思った。
お互いの、ぬめった体液を混ぜ合わせる様に、命の舌が京次の口の中で暴れまわる。
命が、京次の口に吸い付きながら、体をくねらせ擦り付け、肢体を纏わり付かす。 京次の足に、命の股間が押し当てられ、命の足が京次の股間をこねくり回す。
「あぁ、あふっあふっ、あはっ、あんっ。」
そして命の洩らす声は、完璧に喘ぎ声だ。
一方、京次の方はと言うと、とっくに頭の中がぶっ飛んでいた。
娘の命とキスをする。 正しいか、間違っているか、と言われれば、それは間違っている。
しかし、命の言葉を聞いた時、京次は、”正しい行いをして、命を死なせるよりも、間違った事をしてでも、命を生かす。” その方が、正しいと思った。
この矛盾を解消する時間を、命は京次に与えてはくれなかった。
悩んでいる間に、命に唇を奪われ、命の行為は今もってエスカレートしている。
京次は固まった意識の中、再び悩んだが、どう行動すれば一番良かったのか、結局答えは出なかった。
ただ一つだけ、結論付けた事がある。
それは、今回のこの行為が、命に取って良かったのか悪かったのか、この先の未来に、どう影響を及ぼすのか、
京次が多少自分を取り戻しても、命は相変わらず京次を求めていた。
必死に舌を伸ばし、本来届かない様な口の奥まで蹂躪しようと頑張っている。
そうしている内に、京次の歯と命の歯の間に挟まれた命の唇が、ブチッと音を立てて切た。
京次の口の中に、命の唾液に混じった血液が流れ込む。
口一杯に広がる、鉄の味。 京次は思うしかなかった。 まるで処女の証を奪ったかのようだ、と。
命も同じ事を思ったのか、自分の舌で血を舐め取り、京次の舌に擦り付けるという行為を始め、それを何度も繰り返した。
唇から流れていた血が止るまで、それは繰り返され、やっと気がすんだのか、命は唇を放した。
それを見た命は、怪しい笑顔を作り滴り落ちた唾液を丹念に舐め取った。
まるで、犬か猫のように京次の顔をペロペロと嘗め回す。 そして、ちゃんと綺麗になった後、何やら自分の胸元をいじりながら、京次に身をまかせる。
「...パパ、キスしたよ?」
耳元に口を近づけ囁く。 今日タケ子が教えてくれたワザだ。
「判ってるよね?娘だから、なんて言い訳は、もう通用しないんだよ?」