り
アケミが目を覚ました後、ホテルを出た京次が命の待つアパートにたどり着いたのは、夜の十時を回った頃だった。
夜道を歩いていてアパートが見えて来た時、命が居るはずの3LDKの住処は、どこも光が燈っていなかった。
命は、最近高校に進学した。 いくらなんでも、16才の女の子が寝るには早い時間だ。
京次は、仮に寝ていたら悪いので、物音立てないようにドアを空け手探りで居間まで移動する。
遠巻きに見た時は、言い知れぬ不安に駆り立てられたが、玄関には鍵が掛っていたし、命の靴も揃えて置いてあるので、取り越し苦労であると分かっている。
「みっ命!!?」