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結局、一回だけだと言い張っていた射精を、もう勃起は無理だというまで行った後、京次と雪之絵の行為は終わった。
その行為が終わり、既に随分時間が経っている。 辺りはもう真っ暗で、少しだけ残っていた夕焼けも、今では完全に山の向こうに隠れてしまった。
全裸の雪之絵は、小さくなったペニスを膣の中に入れたまま、京次に覆い被さるように抱きしめ、一方の京次も、昔ならありえない事だと思いつつ、雪之絵をしっかりと受けとめていた。
行為が終わって直ぐの雪之絵の体は、熱をおびて汗まみれになっていたが、今ではそれも冷え切っている。
命も、いい加減、心配している事だろう。
「そろそろ、帰らないと。」
京次がそう言うと、雪之絵は意外に愚図る事もなく、体を起こした。 雪之絵の中から、ヘロヘロになったペニスが姿を現す。
「毒は、だいぶ抜けた?」
「ああ、大丈夫だろう。」
答えながら、自分のモノを、慌ててズボンの中に押し込める。 割と素早く動けているので、言ってる事は嘘ではなさそうだ。
立ち上がった雪之絵は、無言で下着やツナギを身に付けた後、命へのお土産と、投げてあった愛用のコートを手に取り、京次に手渡す。
「ああ、すまん。 忘れる所だった。」
それを両方受け取った後、立ち上がってみると、少しだけフラついたが、何とか歩けるまでには回復していた。
「京次。 そのうち、こっちから連絡するわ。 決着つけられる状態になったらね。」
冷静な口調で言った雪之絵。 何の話かは聞かなくても解る。命を狙う連中への制裁だ。
「今ね、鳳仙家に、雪之絵家と陸刀家の重要人物が集まっていてね、攻め込むには都合が良いの。」
「俺は、明日でもいいがな?」
「毒が完全に抜けるまで待ちなさい? 私も、生理とか気にしないといけないしね。 一番調子の良いと思われる日まで待って。」
軽く両手を上げて背を向ける。 生理の話は本当かどうかは解らないが、確かに京次を冒した毒が完全に抜けるには、もう少し時間が必要そうだ。
「なあ雪之絵?」
「何? まだ何かあるの?」
「今、命を側で守っているのは俺だが、お前じゃまずいのか?」
京次の言葉を聞いた雪之絵が、悲しそうな目で振り返る。
「これからは、俺が命を見守る方に回る。 命も、お前の側にいられれば、喜ぶに決まってるんだ。」
それは、雪之絵から簡単に出た言葉。
しかし、その言葉の内容は、今まで雪之絵がどれだけ大変な生活をして来たかを知らしめるに、充分なものだった。