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屑男 撲滅委員会!

−ブラック・アイズ−

 力の入らない体で、京次が体重を預けると、雪之絵は、簡単に倒れされた。

「どうゆう、風の吹き回しなのかしら?」

「今日の俺は暴れたい気分なんだよ。 お前は嫌か?」

「馬鹿な事言わないで、京次が私を求めてくる時を、どれだけ待ったと思っているの?」

「こんなチャンス、絶対逃さないわ。」

「だったら、そのままじっとしてろ。」

 そうカッコ付けて、雪之絵の服を脱がそうしする京次だったが、どうも上手く行かない。

 雪之絵の着ている服が特殊である事と、左手が使えない事、さらには毒に冒された体が上手く動かせない事等の理由なのだが、自分の体を弄りながら困っている京次の姿は、初体験で何をしていいのか解らず、焦る子供を彷彿させる。

 半ば諦めの入った雪之絵は、「ふぅ」とため息を付いて、京次を払い除けて立ち上がた。

 そして、身を包んだ、赤と紫のツナギを脱ぎはじめる。

 恥ずかし気もなく自分の体をさらけ出して行く雪之絵を、瞬きも出来ずに京次は見続けた。

 雪之絵真紀の体を見て、思わず口をついて出た感想。

「お前、化け物だな。」

 雪之絵は京次と同い年なので、今年で三十三歳になる。

 もう一人の同い年、詩女も、歳の割に奇麗な肌をしていると思っていたが、雪之絵真紀はそれどころではない。

 張りのある肌は、詩女どころか二十歳すぎのアケミにも匹敵し、理想的とも言える均等の取れたスタイルは、前者二人に大きな差を付けていた。

 もし、アケミが今の雪之絵を見たら、若さだけは自分に軍配が上がるという、たった一つの拠り所すら失う事だろう。

「アケミを気持ちよくさせて、いい気になっているみたいだけど、私との差がどれほどのものか、その身に刻み付けて上げるわ。」

 『いい気になんかなってない。』 そう言おうとした口に、雪之絵の局部が押し付けられた。

「!」

「京次、動く体力残っていないでしょうけど、舌を使うぐらいは出来るでしょ?」

 そう言いながら、押し付けられる局部は、既にじんわりと湿っていた。

 否が応でも含まされる液体は、かつての記憶にある、雪之絵の味がする。

 それを思い出した途端、京次の一物がいきなり膨張した。

「ほらね? やっぱり、京次は私を欲しがっているのよ。」

 怪しく微笑みながら、ズボンのチャックをおろし、いきり立った肉棒を右手で取り出すと、軽く握って上下にしごく。

 しゅっしゅっ、と、二回ばかりしごいただけで、京次の肉棒は、さらに固くなった。

「うぁっ」

 京次があっさりと、情けない声を上げる。 予想通りと言ってしまえばそれまでだが、性に関する技術は、アケミなど足元にも及ばない。

「ホラ、京次もそのつもりがあるから、私を押し倒したんでしょ? 私にも京次を感じさせて。」

 自分の指で、自分の割れ目を開くと、そこから、若干トロリとした液体が流れ出る。

 確かに雪之絵の言う通りなので、京次は、その愛液を舐め取る様に、股の間に舌をはわした。

 舌が動く度に、局部の外側にあるヒダが形を変える。 雪之絵も感じているのか、愛液の量が一層増えると共に、その一個所だけは、京次にも負けない熱を発していた。

「あぁ...」

 雪之絵が、ぼんやりとした目で京次の行為を眺めながら、声を漏らす。

 今まで、京次が進んで雪之絵を求めた事など一度も無かった。 かつて自分を拒絶した男が、今になってやっと自分を求め、卑しい姿を晒している。

 何時も誇り高く、どんなに責めても屈しなかった皆月京次という男が、自分の体に夢中になり、さかりのついた動物のごとく息を荒げている。

 雪之絵真紀は、京次のこの姿が見たかったのだ。

 腰をゆっくりと動かしながら、京次の舌の感触を感じつつ、右手はしっかりと、京次の一物をしごいている。

 一物が脈打ち、限界が近い事を知らせる。

「ねえ、京次?」

「な、なんだ?」 目をきつく閉じて、射精してしまいそうなのを根性で堪える。

「目を閉じないで、私の股の間にある穴を見て?」

 雪之絵の言葉に、何事かと片目だけを開けた。

「命はね、その穴から出て来たのよ?」

 急激に、京次の一物がしぼんだ。

「ふふ、」

 しぼんだ一物を強くしごくと、再び元気を取り戻す。

「こんな時に、命の話をするな!」

「じゃあ、別の話。」

「......」

「何時の日か命も、今の私の様に、彼氏に自分の股を開けて見せるのかしらね?」

 京次の一物が、先ほどよりもっとしぼんだ。 だが、またも雪之絵が、そのしぼんだ一物をしごき上げ、いきり立たせる。

「やめろっつってんだろ!?」

「ふふ、やっぱり父親って、娘に対して独占欲あるのかしらね。 でも今は大丈夫なんじゃない? それどころか、命は一生独身かもよ? 」

「京次パパのせいでね。」

 いきなり、雪之絵の右手がスパートをかけた。 元々、暴発しそうだった一物は、その緊張の度合いを一気に高めていく。

「待て!!出ちまうだろうが!! 俺の今の状態だと、一回が限度なんだぞ!?」

「解ってるわ、でも見たいのよ。 私の手によって、京次のおチンチンから、精液が絞り出される様を。」

 雪之絵は、ワザと屈辱的な言葉を使った。 京次はそれにまんまと引っ掛かり、情けない姿をさらすまいと、射精しそうなのを必死に堪える。

「ふふ、無駄だと解っているくせに、そうして何時も、抵抗するんだから。」

 見下した目をしながら雪之絵は言うが、京次の方は答えている余裕など皆無である。

 歯を噛み締めて、絶頂の波が来るのを妨害しようと頑張っている。 正に無駄な抵抗だ。

「京次、おもらしなんて姿を人に見られた事は無いわよね? 今日、私が見ててあげるからね?」

 雪之絵の視線が、京次の股間でいきり立つモノに集中している。

 京次は、詩女やアケミに対し、自分が女の体に夢中になっている姿を確認する余裕を与えない。

 女が感じて乱れる姿は可愛いと思う反面、男が感じて身悶えるのは、みっともないと思うからなのだが、雪之絵からすれば、京次の、他の女には見せない姿が見たいのだ。

「ちょっと待て雪之絵!!」

「心配しなくても、粗相の後は私が奇麗にしてあげるわ。」

「そうじゃなくて!俺がお前と一つになりたいんだと言ったら、どうするよ!?」

 雪之絵の右手が、ピタリと止まる。

「...中々、言うようになったわね。」

「言っておくが、俺がそんな気分になるのは、これが最後だぞ?」

「しょうがないわね、それじゃ路線変更。 私と他の女の違いを、その体に教えてあげる。」

 言いながら、京次の顔を跨いだまま立ち上がる。 近すぎて焦点が合わず、ぼやけていた局部が真下からはっきりと見えた。 そんな雪之絵の一挙一動に一々心を奪われていたが、やはり、一番激しく動揺したのは、雪之絵と一つになった瞬間だった。

 京次を跨いだまま、下半身の方へ下がって行き、いきり立つ一物に狙いを定める。

 そして、そのまま身を沈めて行き、膣壁をこすりながら進む京次の性器は、完全に雪之絵の中へと収まった。

「!」

 京次と雪之絵が、お互いを感じて、同時に顔を歪める。

「雪之絵、動くなっ、今動かれたら直ぐにイッちまう。」

 京次の一物が、激しく反応しているのを膣の中で感じる。

「気持ち良さそうね?」 自分自身も感じているのを隠すように、雪之絵が言うと、京次はあっさりとそれを認めた。

「ああ、でも何でだろうな?」

「え?」

「お前、今動いてないよな? それなのに、何で俺はこんなに感じているんだ?」

 京次は、抱いた女の人数は少ない。 しかし、その女性は詩女やアケミ等、悪い言い方をすれば、上等な女ばかりだ。

 しかし、この二人を抱いても、京次が余裕を無くする事はない。 相手をイかせ、その後でゆっくり自分自身で絶頂を作り出す。

 詩女とアケミには悪いが、入れただけで堪え難い快感を得てしまう、雪之絵の性器とは比べるべくも無い。

 しかし、雪之絵がいかに名器だったとしても、人の性器にそれほど違いがあるものだろうか。

「そんな事も解らないの? 」

 雪之絵が、意味あり気な笑顔で京次を見下ろしながら、腰をゆっくり動かし始める。

「っっ!!」

 一物全体に与えられた、痺れるような快感に堪えようと、ぎっと音を立てて歯を噛み締める。

「これはね、相性と言うの。 世界にたった一人だけいる、自分にピッタリの異性。 京次に取って、私がそうだという証拠だわ。」

「.....」

 「認める? 京次には、どんな女より、私がお似合いだって。」

 昔も、雪之絵は京次に、似たような事を問い掛けた。

 京次を自分の体を使い、快感に陶酔した京次の心の隙を突こうとしていた。

 でも、今は違う。 雪之絵真紀は、京次の目を正面から見据え、京次に冷静な考えが出来る程度の快感を与えながら、それを聞いたのだ。

『京次は、もう自分を嫌っていない。』

 その事に自信があり、自分の言った事も正しいと信じているから、雪之絵はそれを聞けた。

 京次に言葉は無い。しかし、雪之絵の瞳から視線を外す事なく、一つだけ肯く。

 言葉はなくとも、それは完全な肯定の意志表示。

 そう答えた京次に、自分が負けたという意識は無い。 雪之絵にも自分が勝ったという意識も無い。

 京次と雪之絵、お互い、良くも悪くも一番影響を与え、今の自分がいる。 

 今の雪之絵は、京次が育てた女であり、今の京次は、雪之絵が育てたのだ。 こんな二人以上に、お似合いの相手などいるはずが無い。

「...良く出来ました。」

 言葉とは裏腹に、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべた後、気持ちのままに口付けした。

 その瞬間、京次は雪之絵の中に子種を放出したが、雪之絵は、それに一切かまわず、腰を動かし続けた。


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