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「なんか、お相撲さんみたい。」
「ミコト、それは、力士に対して失礼よ? 力士は、ああ見えて体のホトンドが筋肉だからね。 コイツみたいに、脂肪の固まりとは訳が違うわ。」
「ふーん、そうなの?」
「ただ、体を守る鎧として考えると、筋肉よりも厄介かもね。」
命とサラは、改めて、聳え立つ大男を眺める。
スダレのように弛んだ脂肪は、喉や鳩尾、金的などの、ありとあらゆる体の急所を守っていた。 唯一、頭だけが急所として残されているものの、大男の上背では、飛び跳ねたぐらいでは届きそうもない。
体への攻撃は通用しないと、サラがわざわざ説明するまでもなく、命も解っている事だろう。
「そうね。 私だったら、ヤツの後ろへ回って、膝の後ろを蹴飛ばしてバランスを崩させてから、頭部を狙うわね。」
「成る程ねー。」
隣の命の体が、深く沈んだと思った瞬間、その体は跳躍される。
躍り上がる命を、サラが見上げ、
「成る程、だったら、私は...」