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屑男 撲滅委員会!

−ブラック・アイズ−

 

 パチン。

「あ、飛車もらい。」

「なんだ? 二人して将棋なんて。 何時の間に仲良くなったんだ?」

「何、寝ぼけてんのよ! アンタが言い出したんでしょうがっ!!」

 新聞片手にやって来た皆月京次に対し、サラメロウのイラついた怒声が飛んだ。

 実はサラの言う通りで、暇を見ては殴り合いの喧嘩を始める二人に困り果てた京次が、将棋やトランプで決着付けるように提案したのだ。

「そう言うな。 これ以上、陥没したナベなんか作る訳にもいかないんだ。」

 陥没したナベとは、サラの豪腕を命がナベで防いだ結果出来たものだ。 他にも陥没したフライパンとか、陥没したヤカンとか、陥没した電子ジャーとか沢山ある。

 最近は殴り合いの喧嘩を辞め、将棋が勝負の方法だ。 ちなみに、トランプは勝負に使っていない。

 何故なら。

「でも、命はゲーム関係強いから、遣り甲斐あるだろう? 神経衰弱のトランプ、勘だけで全部開いちまうからな。」

「そんなの反則よ。」

 パチン。

ずいっ

「あっ、あんた、少しは考えて指してるんでしょうね!?」

「全然?」

 サラは、将棋もトランプも、陸刀のヒットマン達の中では最強だった。

 自信も勝算もあって、皆月京次の提案を飲んだのだが、結果は連戦連敗である。 

「勝負終わったら言ってくれ。俺、出掛けなきゃならんのでね。」

 その場に座り込んだ京次が、新聞を広げてそれを眺める。 もう夕方だと言うのに、京次の着ている服はお出かけ用の黒いコートだ。

 二人の喧嘩の理由は、必ず食べ物である。

 普段、冷静沈着なサラメロウだが、食べ物の事になると人が変る。 子供の頃の飢餓状態だった記憶がそうさせるのだろう。

 今回の勝負対象は、京次の買って来たシュークリーム四つだ。

 勝負に勝った方が、その四つ全てを手に入れるルールである。

「王手、」「王手、」

がばっ

「あっ!?」

「なんのつもりよ!吐き出せ!!絶対食わせてやらん!!!」

どたどたどたどたどたどたどた

「二人とも、止めろよ。」

「だってパパ! コイツが意地汚いのが悪いんじゃない!?」

「命、二つは食べさせてやれ...」

「何でよーっ!涙目なんて演技に決まってるのに!!」

「解ってるよ。命のせいで、サラが余計な事を覚えちまった...」


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