クレイモア SSS

屑男・撲滅委員会!

キ、ス」

「待てえいっ!!命!!」

 当たり前だが、俺は命を引き剥がす。

 だが、あぶなかった。 思いも寄らない命の言葉と行動に、思考が完全に固まってしまっていた。

「なんでーーっ!?欲しい物くれるって言ったじゃないっ!」 手足をばたつかせて抗議する命。 この姿を見て、俺は少し安心した。

 先ほど俺に迫る、あの色気は、固まった俺の思考を解凍するのに十分なモノだった。

 正に、あの時の命は、性欲の魔女たる雪之絵 真紀の娘を地で行っていた。

「何でよーっ!!鬼嫁詩女には全部出来るのに、何で私にはキスすら出来ないのーーっ!?鬼嫁詩女だって私だって、パパにとっては同じ家族でしょーーっ!?」 ( 一生懸命考えたヘリクツ。)

 カタが外れたように、俺に向けて怒りをぶつけて来る。

 これ自体は俺が望んだ事でもある。そして、出来る事と出来ない事を教えるのは親の仕事だ。 

「命、世の中には、行って良い事と悪い事、出来る事出来ない事があるんだ。」

 とりあえず、もっともらしく言ってみた俺。 自分では、素晴らしい事を言ったと思うのだが。

「パパは私が欲しい物我慢してたの知ってるでしょーーっ!?どれだけ、お金浮いたと思ってんの!?浮いたお金を考えれば、キスなんて安いモンよーーっ!!」

 全然聞いちゃいねえ。 てゆーか、命の言ってる事、もうムチャクチャ。

「とにかくキス!!欲しい物何でもくれるって言ったんだからキスっ!!」

「できません!!」

「.....」

 命がいきなり静かになった。

 昔、この感覚は、嫌というほど味わった事がある。

雪之絵 真紀によって。

『欲しい物はね、自分の力で手に入れるしかないの、』

『解る?』

解るよ。

力づくで奪っちゃう!!!


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