貴時は辺りを見回した。
一瞬、姉の命の声かと思ったが、それはありえない。 見回しても、周りには、自分以外に京次しかいない。
今の自分の心境が聞かせた空耳...そう思った時だ。
つ
そう言ったのは、京次だった。
どうやら空耳では無かったらしい。京次も聞き覚えの無い女性の声を聞いたのだ。
。
「”仕方が無かった”とか、”それしか方法が無かった”とか、よく聞く言葉だけどな。そんなのは、間違った選択をした人間が、自分を納得させる為の詭弁でしか無いのさ。」
。
0
「つまりなー、俺の言いたいのは諦めなきゃなんとかなるという意味に近い事をだなあ...」
「解ってるよ、説明のヘタなやつめ。」
右手を前に出すのが京次の構え。
しかし今、その右腕を完全に伸ばした。
最終話(その二十一)前編 終