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クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

 皆月京次が、転がるニ体の死骸を冷めた目で見下ろしていると、ゆっくりした歩みで雪之絵真紀が側まで寄って来た。

 自分よりも、頭一つ下にある雪之絵の視線は、京次の左手に注がれている。

 竜王の百歩神拳が命中した場所。京次の左手の薬指と小指は、完全に消滅している。 つまり、この傷は永久に治らない事を意味しているのだ。

「焼失したせいなのかしら、出血はしていないみたいね。 痛い?」

「いや、元々の怪我のせいで、マヒしてるんだよ。 傷みなんか、初めからねーよ。」

 そう答えた京次だが、おそらく嘘だ。 命を傷つけられた怒りに比べれば、自分自身の傷みなど、取るに足ら無い状態なのだろう。

 過去に、腹を刺されても、命を逃がす為に戦えた雪之絵には、それがよく解った。

「京次らしくないわね? 何時もみたいに余裕見せれば?」

 そう言った雪之絵だったが、その言葉と裏腹に口元は緩んでいる。 

「ふん!」

「もし、自分のガキが目の前で傷つけられても、余裕ぶっこいてられる野郎がいたとしたら、
俺はそいつを、”人間が出来ている”なんて全然思わねえよ。」

 過去、初めて命に唇を奪われた時に思った事がある。

 ”正しい行いをして、命を死なせるよりも、間違った事をしてでも、命を生かす。”

 

『正しいと思う事の為に、間違った行為を行う。』

この矛盾を解消する答えを、その後も京次は出せずにいた。

 しかし今では、何故、自分がそんな事で悩んでいたのかが解らない。

「いいか? 命を救い出すまでの間に、俺の前に現れたやつ等は、」

「全てに例外なく、皆殺しだ。」

クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

最終話

(その十)


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