ここに来て、やっとカズ子は自分が絶体絶命の危機にさらされているのだと気が付いた。
恐怖の為に、膝がガクガクと鳴りはじめる。
雪之絵真紀の最後の一撃は、カズ子が努力して培った防御さえも加渓に取らす暇は無かった。
それほど、強烈な一撃。 雪之絵真紀と加渓では、戦士としての器があまりに違う。
言い訳するつもりは無いが、たとえ加渓を操るのが自分でなかったにせよ。 雪之絵真紀を倒すには、初めから玉砕させる覚悟が必要だ。
そんな事を考えて、カズ子がその場で震えていると、雪之絵真紀が真っ赤な目で睨みながら、ゆっくりとこちらに近づいて来た。
「!!」
一瞬大きく痙攣した体。 しかし、加渓をこの場に置いて一人で逃げ出す訳にも行かず、その場で震えて立ち尽くす。
だが、心の中では加渓を動かそうと、必死になって『動け!動け!』と念じている。 もう雪之絵真紀を倒そうなどと無茶な事は考えていないが、この場から逃げる為には、やはり加渓の力が必要なのだ。
「?」
「操られている陸刀の戦士を止めるには、殺すか、水晶玉を奪うしかないのよね。」