「薬の量から言って、当時のマルニーニが死ななかったのは正に奇跡でした。」
「でも、確率100%の障害は別。」
「...でも、それも、もう直ぐ終わり。 大怪我のおかげで、私の旦那も、もう長くは無いですからね。」
「そしたら、もう全て終わりですわ。」
「...その心臓って、医者には治せないのか?」
「...ペースメーカーって知ってます?」
京次は無言で頭を振る。
「心不全という病気に使う小さな機械なんですけど、それを体内に埋めこめば、普通に生きられますわ。」
「だったら、話は簡単じゃねーか?」
「私達は大国の組織に狙われているんですのよ? 病院に掛かった途端に私達家族の消息がバレて、直ぐに刺客が現れますわ。」
「アナタは、大国組織の巨大さを知らないから、そんな事が言えるんですわ!!」
「組織と戦って、負けて、捕まって! それで拷問や辱めを受けるぐらいなら、静かに死んで行く方がマシですわ!!」
「だから言い訳せずに、好きにするがいいさ。 でもな、」
レル