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「そんな...!」
赤い髪の少女が、目を白黒させながら取り乱す。 側にいる高森夕矢だったが、そんな彼女を気遣う余裕は無かった。
足元に転がった首と両腕。 普段の生活では、まず見られない人間の凄惨な姿。
まして、先ほどまで会話をしていた、全ての面で尊敬できると思っていた朱吏陽紅の...
「落ち着け!」
突然聞こえた、背後からの怒声。 全身を一瞬震わせて、高森夕矢と赤い髪の少女は我に帰った。
しかし落ち着こうとしたのは、怒鳴った皇金自身も同じである。 冷や汗を全身から流しながらも、無理矢理に体の震えを止めていた。
止めきれない指先が、小刻みに震えているのが見えた。
「死んだヤツに気を取られるな!そんな事よりも...」