屑男 撲滅委員会!

−ブラック・アイズ−

 御解りになられましたか? 皆月 京次さん。

 過去、祟りを恐れた呪術士の鳳仙は、雪之絵の娘の中に、悪霊と化した一族の魂を全て封じ込めました。

 雪之絵直系の娘は、生きている間に女の子を生み、封じ込められた悪霊は全て、その女の子へと受け継がれます。

 永遠に呪われ祟られ続ける、血統。

 娘を産み落とした母親は早くに生命を落とし、その魂は死して尚、祟りの元となる悪霊の供物として、永遠の慰み者とされます。

 雪之絵 真紀の母親も、その母親も、さかのぼる事例外なく、祟りを封じられた娘達は、今も悪霊の慰み者として苦しんでいる事でしょう。

 それは、悪霊達を治めるための必要悪。

以前、雪之絵真紀を殺そうとしたのも、命だけを拉致しようとしたのも、これが理由。

 でも、死んで供物となるはずだった雪之絵 真紀が生きています。

 供物をよこせ、と、悪霊達が騒いでいます。

 封じきれなくなった悪霊達が暴れ出すのも時間の問題。

 事情を知った雪之絵 真紀の牽制のため、今まで静かに傍観して来た雪之絵、陸刀、鳳仙の三家も、本当に恐ろしいのは祟りであるため、近いうちに行動を起こすでしょう。

 現在、悪霊を封じられている雪之絵 命を捕らえ、犯し、子供を生ませた後、供物として捧げるために殺そうとするでしょう。

 たしかに、京次さんや雪之絵 真紀なら、命を三家から守れるかもしれません。 でも、それだけではダメなのです。 

 封じられた悪霊が暴れだした時、それを再び封じる方法は無く、命の魂は侵食され、蝕まれる事でしょう。

死んで悪霊の供物になるか、生きながら悪霊に蝕まれるかの二者択一。

御分かりになりましたか? 皆月 京次さん。

私は、あなたに、伝えねばなりません。

命を救うためでもなく、

京次さんの力を借りるためでもなく、

ただ、私自身が、自分の無力を正当化させるために。

ごめんなさい。 命を救うすべを、私は持っていないのです。 


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