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屑男 撲滅委員会!

−ブラック・アイズ−

「ちょっと出かけて来る。」

「えー? もう夕方だよー!? こんな時間からドコ行くのーっ!?」

「詩女の所だよ。(嘘)」

 黒いコートをはおり、命の追撃を躱して足早に出て行こうとする京次に対し、背を向けたまま、テレビを見ているサラメロウが声を掛けた。

「ちょっと待って、 聞きたい事あるんだけど。 」

 京次は足を止めて、サラのいる居間を覗く。

「...さっきの電話の相手の事、どこまで知ってるの?」

「ほとんど、全部。」

「情けない話だが、気が付いたのはごく最近だけどな。」

 言葉が聞こえたと同時に、アパートの玄関から京次は出て行ったようだ。 バタンと、ドアの閉まる音がした。

 多少の怒気を含んだ京次の言葉。 しかし、その怒りの矛先がアケミに向いていないのは、先ほどの電話の内容からも明らかである。

「......」

 元々、ヒットマン達の性の処理する道具として連れてこられたサラメロウを助けてくれたのは、その時側に居たアケミだった。

 それだけではない。 不遇な生活を強いられていた、陸刀のヒットマンの生活を改善したのも、陸刀家実権を握った後のアケミである。

 サラを含めた陸刀のヒットマンが命懸けで戦うのは、全てアケミ一人の為なのだ。

サラは、アケミの事を知りながらグズグズしている、鳳仙桐子が嫌いだった。

サラは、姉のアケミの事を何も知らずに平気で生きている、陸刀加渓が嫌いだった。

『それさえ適えば、たとえ死んでも本望よ。』

鳳仙の奴隷から開放されたいと、アケミ本人からよく聞かされた言葉。

サラも、他のヒットマン達も、皆アケミを助けたいのに、本人は死んでもいいなんて言っている。

サラは、その言葉が大嫌いだった。

 サラメロウは思う。

 もし、あの男、

 皆月京次がアケミを救ってくれるのだとしたら、自分が皆月京次の敵に回る理由なんて、何一つ無い。

 それどころか、自暴自棄になっているアケミに手を貸すよりも、皆月京次に手を貸した方が、本当の意味でアケミの為になるような気がする。

 多分それは、間違っていない。

のり

「アケミの独白」 後編、 終わり。  


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