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屑男 撲滅委員会!

−ブラック・アイズ−

「あーん。」

「あー、」

「待てやオイ!!何のつもりやねんな!!そりゃ!!!」

 命がテーブルを叩いて立ち上がる。 無理もない行動ではある。

「し、しかたがないだろ? 両手使えないんだし。」 京次のこの言い分も、しごくもっともである。

 命の口がぱくぱくと何かを言おうとするが、言葉は出てこない。 ただ気に入らないと言うだけで、正当な反論の理由など元々何も無いのだ。

「我慢しろって、風邪の時とか、命にも食べさせた事あったろう?」

「それじゃ、はい。」 「あー、」     

「パパの馬鹿ーーーっ!!!」

「命!?」「命!?」

くる

「重大な事に気が付いたわっ!!

コイツお風呂はどーすんの!!?」

「あー、そりゃ、あれだな。 命が洗ってやるか、俺が洗ってやるか...」

「私は嫌!!パパはもっと嫌ーーーーーっ!!」

 で、結局、考えてみたら、たとえ義手義足をサラメロウが付けていた所で、皆月京次が側にいれば、全然危険でない事に気が付き。(元々、サラメロウでは、京次には全然敵わないから。)

 義手義足を外すのは、京次がサラメロウの側にいない時だけと決まった。

「そうゆー事で、サラ、今は義手義足を付けてもいいぞ? 一人で付けられるかい?」

 今だぶーたれる命を尻目にサラメロウは小さく肯き、一人で、ぴょこぴょこと跳ねながら居間に消えた。

「...何で、アイツ、ここを出て行こうとしないんだろう? 解らないな。」

 命が、もっともな疑問を呟く。 京次はその問いに答える訳にはいかなかったが、二つの理由は想像出来る。

 一つは、どこかで見張っているであろう雪之絵真紀の存在を、サラメロウも知っているからだ。 雪之絵真紀と皆月京次の実力は、ほぼ同等と見ていい。

 きっと、このアパートから出た途端、自分は雪之絵真紀に殺される。 その事を、サラ自身よく解っているのだ。

 そして、もう一つは...

「何だ?義手と義足付けたのに、マント羽織ったままか?」

 再びリビングに現れたサラメロウの出で立ちを見て、思わず京次はそう言った。

「汚れるから。」

 それに答えたサラメロウの言葉。 京次は、少しだけ考えて、その意味に気付く。

 汚れると言ったのは、間違いなく、サラメロウが今着ている私服の事だ。

 サラが着ている私服は、命のお古である。

 命が、もう着ないと言っていたのを一着上げたのだが、どうやら本人、気に入っているらしい。

 京次は、笑うしかなかった。 そして、後もう一つの理由もあながち間違っていないのではないか。そう思い始める。

 もしかしたら思い違いかも知れない、もう一つの理由。

 サラメロウは今、人並みの生活と言うものを楽しんでいる。

 食事の時だけは、やたらと幸せそうにしているサラメロウを見ていると、京次はどうしても、そう思えてしかたがなかった。


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