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「待て。 落ち着け、命。」
とりあえず、皆月京次は命を羽交い締めにする。
「どーして止めるの!?コイツのせいで、皆酷い目にあったんだよ!?パパの骨折だってコイツのせいだし!!」
京次の骨折は、むしろ命が原因。
「おーいっ、小判ザメ君!あの子(サラメロウ)を、どっか連れてってくれっ!」
暴れる命を押さえながら、後ろで蹲っているはずの小判ザメに振り向くと、そこには誰もいなかった。
それも当然、小判ザメは現時点で、既に死んでいる。
「......」
脳を振られて朦朧とした意識から回復した小判ザメは、倒されたサラメロウと、トドメを刺そうと息巻いている雪之絵命を、その目に写したはずだ。
この任務に失敗したサラメロウは、鳳仙の連中から処刑される運命。 圧倒的な実力差を見せ付けた皆月京次と見るからにオッカナイ雪之絵命に割って入り、サラメロウを助ける価値は無いと踏んだのだろう。
ある意味、無理もない結論である。
騒ぎ立てる命と、それを押さえるながら困り果てる京次を余所に、高森夕矢が動かなくなったサラメロウを不審に思い、側に近づく。
「あの、京次さん?」
動かないサラメロウを、しばらく見ていた高森の言葉。