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キーンコーン、カーンコーン、
御馴染みの鐘の音が鳴り響く。
「あれ?次の授業って教室移動する必要ないよね?」 鐘の音を聞きながら、タケ子が辺りを見回す。
「うん。次は数学だからね。」 そう言いながらカズ子も教室前方の扉に目をやる。
この鐘の音は授業開始の合図である。 とっくに先生が現れていい時間だ。
今日は先生来るの遅い。などとクラスの全員が思い始めた時、 廊下から年配男子の怒鳴り声が聞こえた。
『こらーっ!!お前等どこの生徒だ!!なぜここに居る!!?』
聞き覚えがある訳ではないが、間違いなく数学担当の教師の怒鳴り声だろう。
「あちゃー、命のやつ、のこのこ戻って来たのかな?」
「いえ、それだと先生の台詞おかしくありませんか?」
顔を覆って廊下の様子に聞き耳立てるタケ子に対し、気になりだした高森も椅子を引いて立ち上がる。