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前戦闘で、サラメロウが見つけた、命の欠点。
パターンの決まった攻撃方法。 そして、視線の向く場所への攻撃。
この前と、相も変わらぬ命の連続弾。
しかし、一つだけ、違う部分があった。
それは、前回より、さらに攻撃が頭部に集中している事だった。 いや、頭部などと言うあいまいな部分で表すまでもない。
「...コイツ。やっぱり馬鹿だわ。」
命の思惑。 それは、連撃の一点集中。
たしかに、攻撃を一個所にまとめれば、その分破壊力も増す。 しかし、それはあくまで、生身の人間に対して言える事である。
サラメロウの義手の材質である”タンガタングステン”は、掘削機のドリルにも使われている超硬質金属だ。
いかに命が強力とはいえ、生物の力でどうにかなるものではない。
咄嗟の発想だったのか、元からの作戦だったのかは、命本人に聞かなければ解らないが。 今回に限っては、命はサラメロウの上を行って見せた。
顔面への攻撃集中。 それはサラメロウの腕を、視界を遮るスクリーンに使う為だ。
サラメロウの視界を遮られる時間など0コンマ数秒であるが、命の瞬発力を持ってすれば死角へ回り込むのに充分な時間だった。
元より、サラメロウよりスピードのある命が、今、完全に後ろを取った。