,り

屑男 撲滅委員会!

−ブラック・アイズ−

 前戦闘で、サラメロウが見つけた、命の欠点。

 パターンの決まった攻撃方法。 そして、視線の向く場所への攻撃。 

「全然、解消されてないわねえ。」

カッ!

 この前と、相も変わらぬ命の連続弾。

 しかし、一つだけ、違う部分があった。

「...?」

 それは、前回より、さらに攻撃が頭部に集中している事だった。 いや、頭部などと言うあいまいな部分で表すまでもない。

 命の攻撃は、ただ、サラメロウの顔面にのみ、集中しているのだ。

「...コイツ。やっぱり馬鹿だわ。」

 これは、命の思惑を読んだサラメロウの言葉。

 命の思惑。 それは、連撃の一点集中。

 たしかに、攻撃を一個所にまとめれば、その分破壊力も増す。 しかし、それはあくまで、生身の人間に対して言える事である。

 サラメロウの義手の材質である”タンガタングステン”は、掘削機のドリルにも使われている超硬質金属だ。

 いかに命が強力とはいえ、生物の力でどうにかなるものではない。

「逆に、両拳を潰して終わりよ。」

 咄嗟の発想だったのか、元からの作戦だったのかは、命本人に聞かなければ解らないが。 今回に限っては、命はサラメロウの上を行って見せた。

 顔面への攻撃集中。 それはサラメロウの腕を、視界を遮るスクリーンに使う為だ。

 サラメロウの視界を遮られる時間など0コンマ数秒であるが、命の瞬発力を持ってすれば死角へ回り込むのに充分な時間だった。

 元より、サラメロウよりスピードのある命が、今、完全に後ろを取った。

「...へぇ、」

「それほど、おバカでもなかったみたいね。」


前へ、   次へ、