,り
「アケミさん、私、タケ子を操るなんて事、本当はしたくないです。」
「ご、ごめんなさい。」
俯いて小さくなったカズ子を見て、陸刀アケミは、キツイ事を言ったのを後悔する。
そう、別にタケ子...陸刀加渓が、”鳳仙家の操り人形”として、カズ子に遣わされたのは、カズ子自身の所為ではない。
元々鳳仙と陸刀の関係は、主と従。 そんな中、操り人形にされるタケ子を哀れに思い、雪之絵の呪いを含めた一連の事実を教えていないだけだ。
「いいわ、別にアンタの所為じゃないものね。 それより早い所、加渓(タケ子の事)の意識を完全に掌握出来るようになりなさい。」
カズ子は、アケミの言葉にコクリと肯いた。
アケミの言うように、まだカズ子はタケ子の意識を、完全にコントロールは出来ない。
出来る事と言えば、今回、命の体を求めた様に、タケ子が、やりたいと思っている事を、精々後押しするぐらいだ。
完全にタケ子の意識をコントロール出来れば、全然気が付かないうちに、タケ子を好きなように動かし、使える。
カズ子自身が、それを望んでいる訳ではないが。 実はタケ子は陸刀の中では、良い方なのである。
カズ子が、まだ女だから良い。 もしカズ子が男だったとしよう。 男が女を好き勝手に操れたら、女の末路がどれほど哀れな物か、
「あっ、」
カズ子がいきなり今の雰囲気に合わない、声を上げた。
「何?」
「いえ...タケ子が...。」
カズ子の持つ水晶に写っているタケ子は、保健室のベットから起きだして、ノコノコと歩き出した。
何事だろう?そう思って見ていると、タケ子はおもむろに、隣のベットの布団の中に手を突っ込んだ。
そうだった。隣のベットの布団の中に汚れたパンツ隠していたのだ。