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ベットに寝かされた時は、見るからに辛そうだった雪之絵 命も、正午を過ぎた現在、随分穏やかな表情に変わっていた。
初め、サラメロウから受けたダメージの為に気絶していたものが、時間が経つにつれ睡眠に変化したと言う事だろう。 そう言えば、命は今日、寝不足でフラフラしていたのだ。
保健室のベットで、静かに寝息を立てる命の横で、何とも怪しい動きをしている女の子がいる。
顔を真っ赤に染めて、辺りをキョロキョロと見回しているその女の子は、先ほどまで、命の唇を貪っていた陸刀加渓、通称タケ子だ。
誰も見てないし、誰も来る様子もない。 それを確認したタケ子は、おもむろに両手を自分のスカートの中に突っ込み、スルスルと下着を脱ぎだした。
そうしながらも、辺りの警戒は怠らない。
あからさまに可笑しく、意味不明な行動。 しかし、勿論タケ子にしてみれば立派な (とは言えないが) 理由があった。
「...うっ、」
膝上までズラした、薄いブルーの下着の股間に当たる部分から、ある透明な液体が粘ついて糸を引き、自分の陰部に繋がっていた。
その液体の正体は、言うまでもなく、命の唇を散々味わっている最中に流した愛液である。
一方的な口付けが終わった後、しばらく余韻に浸ったおかげで、大量に流した愛液が乾き始めてしまったのだ。
タケ子は「うーうー」と気持ち悪そうに唸りながら、最後まで粘液の糸が繋がったままの下着を脱ぎ終わった。
その下着は、ショーツ、パンティー、などと呼ぶには、あまりに幼く、ただのパンツである。 そのパンツにゼリー状になった愛液がベッタリと付き、オシッコの染みもしっかりと付いていた。
タケ子の名誉の為に一応述べておくが、今回、オシッコの染みを作ってしまった理由は、サラメロウ達侵入者の一件で恐怖を感じたせいなので、 本人が普通より締まりが悪い訳ではない。
思えば、侵入者の太郎は、オシッコに濡れたタケ子の陰部を弄っていたのだ。 もしかしたら、お洩らしを感じて濡れたものと勘違いしたかも知れない。
それも含めて気持ち悪いので、脱いで乾かそうと思ったタケ子だったが、そこらへんにぶら下げておいて人目に触れたら、これは自殺モノだ。
良い案が浮かばない時ほど、独り言は多くなる。
そして視線を泳がせ、あちらこちら動かしている内に、最後にベットに寝ている雪之絵命と目が合った。
「タケ子...何してんの...?」
「命!!」
何時の間に目を覚ましたのだろう?そう思う前に、タケ子はパンツを後ろに隠していた。
「おっ、目覚めたんだ。 ちょっと待ってねっ。」 言いながら、隣のベットの所まで走って行き、汚れたパンツをベットに敷いてある布団の中に隠す。
そして何食わぬ顔で、命の所まで戻って来ると、ベットを隔離するためにあるカーテンを完全に閉めた。
保健室のベットは、大抵、一つずつカーテンで囲まれているものだが、それは、この学校も同じである。
「よかった、心配したよ?」 少々引きつった笑顔でタケ子が笑いかけると、命は逆に、ジワリと涙を滲ませた。
「ゴメン、負けちゃった...」
一瞬何の事か分からなかったタケ子だったが、侵入者に倒された事だと気が付き、なるべく優しい顔で子供をあやすように語り掛ける。
「気にしないで、ね?命は充分頑張ったよ?」
「ん...あ、あれ?」
タケ子の笑顔に安心した命は、ここでやっと自分の服装の変化に気が付いた。
しかも、胸の先にある突起が体操服を付いて目立っているので、ブラを付けていないのがすぐに解る。
ブルマーの中に手を入れて見ると、思った通りパンツを履いていなかった。
「タケ子!!私が気絶している間に何があったの!?」 命が真っ青になって取り乱す。
『自分は、性的なイタズラされたのではないか?』命はそれを恐れているのだ。
「大丈夫、」 すぐさまタケ子は命を抱きしめる。「命どこまで覚えてる?思い出してみて?」
「殴られて、吐いて...殴られて...オシッコ...」
ここまで喋ってみて、命は真っ赤になった。
「どう?思い出した?」
タケ子の言葉に、真っ赤になったまま命が肯く。
「倒れた時にね?服汚れちゃったから、保険の先生が脱がして、今洗濯してくれてるはずよ。」
「私、大勢の前でお洩らしして、その上に倒れてたんだ。」
真っ赤になって縮こまった命が、タケ子にしがみ付いて来る。
可愛い、
よく言えば、おてんば。悪く言えば狂暴な命が、怪我の所為か、とても弱々しい。
「うん、恥ずかしいね。でも、私も同じようなものよ。 クラスメートの前でイタズラされたし...」
タケ子が侵入者に脱がされ、触られていたのを、命はその目で見ている。
「あっ、ご、ごめんっ!私よりタケ子の方が絶対辛いよね?」
慌てて離れようとした命だったが、タケ子抱きしめた腕を解かない。
「命が助けてくれたから、大丈夫。でも、そうね、今の命と同じくらい傷ついてるかな?」
「私ぐらい?」