り
「わ、わたわた、わた、私は捨てられてなんかないっ!!ママはその内迎えに来てくれるのよっ!!」
「あーら、それは良かったわ。だってママが戻って来たらさー!あんた、ママに引き取られて京次とは離れ離れになる訳だしー!願ったり叶ったりだわーーっっ!!」
!!!
あーなるほど、たしかにそうだなー。詩女、頭良いや。
「ほーら、ほらほらほらっ、何か言ったらんさい?いずれは、あんたは京次の元から離れる事になるのよ!!どっちみちそーなのよ!!」
「うーーー、」
「自分の立場をわきまえなさい!!あんたは京次に同情されてるだけっ!!愛情は私に向いてるの!!どんなに想っても血の繋がったあんたじゃどーーーっっっにもならないのよっ!!ダメなもなーダメなのよーーーっ!!!」
いや、命は元々喧嘩は腕でするタイプで、口喧嘩は土俵じゃないのだ。
まして、相手が詩女では。
「パパーーーーーーっ!!!」
「パパ聞いてたでショ!?あの人、命にヒドイ事ゆーよーーっ!命、悲しーのっ!パパ助けてぇーーー!」
なっ!?
「......」
いや、
俺だって分かっているのだ。 これが命の演技である事は。
命が自分を”私”でなく”命”と呼ぶ時は、百パーセント演技なのだ。
しかし、
こう甘えられて突き放す事は、俺には出来んっ。
軽く命を抱きしめて、とにかく場を収めるための言葉を二人にかける事にする。
「馬鹿だなー、キライなワケないだろー。詩女も、少し大人気な...」
詩女の目が言っている。
「私か、そいつか、今ここで選べ。