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ピチャーン
雫がおちるおと、
ピチャーン
たえまなくつづく そのおと、
場所は、とある地下室。
あやしく薄暗い明かりの中、全裸の女が一人立っている。
ーーはあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ,
長い髪を乱し、息を乱して、雪之絵真紀は立っている。
め
返り血を浴び、朱に染まった雪之絵は、手に持っていた フックのついた棒きれを投げ捨てた。
その棒は、カランと乾いた音を立てて床に落ちると、そのまま、コロコロと転がり、血だるまのオモチャに当たって止まった。
血だるまになって、決死の形相で倒れているこの男が何者なのかは雪之絵は知らない。
ただ、そこそこいい男だったので、誘い、遊び、結果壊れたのだ。
別に今日初めての事ではない。
雪之絵は四年前、最愛のオモチャ”皆月京次”と離ればなれになった後、京次の代わりを求めて男を誘った。
そして、その男達は、何の例外もなく”壊れた”のだ。
目の前に転がるこの男の様に。
ーーはあ、はあ、はあ、はあ....
しかし、雪之絵は達しない。
ーーはあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、
一度も達した事はない。
ーー はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ!
京次に抱かれれば、それだけでイける。
でも、それだけでは、満足できない。
ーーはあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
雪之絵は思う。
もし、皆月京次を壊せたら、私はどれほどの快感を得られるのだろうか、と。
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