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クレイモアP(パロディー)

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ここは、クレイモアSS収録現場

出演者は、それぞれ集まって寛いでいる

京次「相っ変わらず、エデン父の姿は凄いですねー
   特殊メイクとはいえ、間近で見るとかなりグロイですよそれ」

エデン父(以下、エ父)「いやいや、今の京次君も相当なものだよ」

京次「そうですかぁ?あははははははは」

グロイ姿の二人が、妙な話で盛り上がっているところを
冷めた目で見る貴時

貴時「ホラーコメディーじゃないんだから、んな格好で笑ってんなよ
   気味悪ぃなー」

エデン母(以下、エ母)「まったくですわね
   あんなのと絡まなきゃいけないんですもの、嫌になりますわ!」

貴時「・・・・・・(今のアンタは、人の事言えないと思うが)」

エ母「何か?」

貴時「いや・・・・・(汗)」

アダルトチームから、やや離れた場所で・・・

貴時「ちょっと待て!俺をあいつらと一緒にするんじゃねぇ!!」

ナレーションにケチつけると、酷い目に遭いますよ?

貴時「な!!」
では、仕切り直して
やや離れた場所で、かしまし三人娘が
お菓子をつまみつつ、きゃいきゃいとおしゃべりをしている

命 「ねぇねぇ、昨日のTV見たぁ?」

加渓「見た見たぁ♪さいっこーよねー(笑)」

桐子「えーナニナニ?何のTV?」

加渓「桐子は昨日も、収録だったからねぇ」

命 「あらぁ残念ねぇ、ホンット面白かったのにぃ(笑)」

桐子「やーん、くやしーぃ」

命 「よしよし、あとで録画見せてあげっから」

それぞれ、ワイワイやっている中
かしまし三人娘から更に離れた場所で、一人イライラとしている人物がいた

真紀「遅い・・・いつまで待たせる気?」

明美「あぁ・・えっとぉ・・・・・・・・・・!
   紅茶飲みませんか?ね?」

真紀「(ズズッ)・・・・ぬるい!!」

明美「す、すいません!淹れなおしてきます!!」

真紀「ったく、使えないわね!」

共演者である明美を付き人のように扱い
一向に始まらない収録に、イライラを募らせる真紀
そこに、一人遅れて撮影入りする者がいた

圭 「すいまっせーん、ちょっと渋滞に巻き込まれちゃってぇ・・・・あれ?」

へらへらと笑いながら入ってきた圭の背後に
殺気立った真紀が音も無く忍び寄る

真紀「いい度胸してんじゃない、この私を待たせるなんて!!」

圭 「ひぃぃぃぃぃぃ・・・・・・・・・」

真紀「とっとと、衣装を着てこんかーーーーーーーーーーい!!!」

ドガッと真紀が圭の背中を派手に蹴り飛ばし
漫画にあるような、お約束のポーズで吹っ飛ばされ壁に叩きつけられる
横目でそれを見ていた貴時がボソッと呟く

貴時「あの馬鹿!先に着替えて来いっつーの」

撮影スタッフが慌てて駆け寄るが、圭は完全に伸びてしまった
哀れ、タンカで運び出される圭

真紀「まったく、何しに来たんだか」

貴時「・・・・・・(アンタが、やったんだろーが)」

心の中で突っ込む貴時だった

AD「死神さん入りましたー
   間もなく撮影を始めまーす」

一同「はーい!」

貴時「やっとかよ」

真紀「・・・」

命 「あっ、でも圭さんがいないケド?」

P 「別撮りでもよかろ?
   代役立てて、後で合成な」

AD「はい、手配します!」

命 「ふ〜ん・・・」

真紀「まったく、迷惑な奴ね!」

貴時「・・・・・・(だから、アンタが)」

真紀「何?」

貴時「いや、何でも・・・(汗)」

こうして微妙な空気の中
ようやく収録の準備が整えられた

AD「立ち位置確認してくださーい」

命 「やーん、台本もっかい見せてー」

貴時「諦めろ、今更ジタバタしても始まらん!」

命 「ぶぅ・・・貴時、なまいきぃ」

貴時「・・・・・・(怒)」

AD「では始めまーす
   死神の登場シーンから、本番・・・・」

 

−クレイモアSS−

本編冒頭、死神の登場シーン

白い死神が登場・・・

一同「・・・・・・(汗)」

貴時「・・・・・・(鳥だな)」

命 「・・・・・・(鳥よ・・・ね)」

加渓「・・・・・・(鳥かよ・・)」

桐子「・・・・・・(でかっ!)」

一匹のハエが死神の前を飛んでいく

死神「・・・・・」

パクッ、モグモグモ・・・

死神「ウッ・・」

ペッペッ

ハエがよっぽど不味かったのか吐き出して嘴を拭う

真紀「(ちっ)」

まったく動じずに真紀は演技を続ける

貴時は、ハッと我に返り真紀に続く

貴時「これは、あいつが何者なのか聞くまでもねーな
   自分を神だとかぬかす野郎は、話の通じねえキチガイに決まっているからな」

真紀「...駄目よ
   あんた達は京次の側に居なさい」

貴時「輸血は、傷口を塞いだ後だよな?」

エデン母は(笑いを堪えて)カクカクと小刻みに頷く

貴時「だったら、あれを倒すぐらいの時間ならあるだろ?」

加渓「(もう、何だかわかんないけど)私も・・・」

桐子「(とりあえず、演技に集中よ)私達も戦います。」

見た事もないような、巨大な冠オウムに動揺しつつ
役者根性で演技を続ける面々

加渓が斬魄刀(違っ)で死神に切りつけるが
それを難なく足で掴む

桐子「加渓!全開よ!!」

加渓「(卍開(違っ)・・・・・うそぉ?!)」

斬魄刀(違っ)はビクともしない

加渓「(何でぇ?たかが、デカイ鳥のくせにぃ)」

台本通りに真紀と命が全力で仕掛ける
が、クアァーと欠伸をし翼で軽くあしらう死神

真紀「!!」

命 「!!(こいつ、ムカつくぅ!)」

貴時「(信じられねえ、二人の連撃を片手で防いでやがる!)」

懐から銃を取り出す貴時に
フレームの外からADが、手招きをする

貴時「(小声で)なんですか!」

AD「(小声で)悪いんだけどぉ、コレを使って」

貴時「(ちっ、仕方ねぇな)」

銃を持ち替えて、演技に戻った貴時は

続けざまに三発、打ち込む

貴時「(げっ、豆鉄砲かよ!)」

発射された弾が豆だった事に辟易したが、次の瞬間愕然とする

死神「(コオッ)」

パクパクパクッ

貴時「??(食べやがった!)」

どこに隠し持っていたのか、貴時は一升枡に入った豆を取り出し
死神に向かって投げつける

豆が床に散らばり、それを器用に身体を捻って食べ始める死神

しかし、いくつか届かない位置に豆が転がり
死神は首を傾げて、何か思案している

貴時「(けっ、やっぱただの鳥じゃねーか)」

そう思った瞬間、突風により加渓と貴時は吹っ飛ばされ
しこたま身体を床に打ちつけ、二人とも気を失う

呆気に取られ、真紀と命は呆然とし
その隙に死神は転がった豆をヒョイヒョイと拾って食べ始める

阿保みたいな展開に呆然と立ち尽くす命の足元に豆が一粒転がっている
目ざとく見つけた死神は、悠然と命に向かっていく

既に演技を忘れ、ただ立ち尽くす命を尻目に
真紀だけは台本通りに演技を続ける
が、死神はお構い無しに命の足元にある豆を狙う

真紀「(この鶏冠野郎!!)」

さすがに、怒り心頭ではあったが
そこはプロの女優
台本通り床を打ち抜く体勢に入る
床を打ち抜くフリでカットとなるシーンのはずが
真紀は本気で床をぶち抜いてしまった

真紀「(ふっ、私もまだまだ青いわね)」

死神「?」

エ母「・・・・・(驚愕)」

本当に床をぶち抜いた事に驚き台詞を忘れるエデン母

命は、ようやく我に帰り演技を再開する

命 「ママ!?」

真紀「命、京次の側にいなさい」

バン!

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P 「カーット!!」

慌てて穴に駆け寄る命

命 「真紀さーん、大丈夫ですかぁー」

真紀「・・・・えぇ」

穴の中から、とっても不機嫌な返事がくる

バッサバッサと音がして、真紀が穴からせり上がってきた

死神の背に乗って・・・

命 「ぁ・・・・・・真紀さん?」

床の破片を被る事も無く、まったく無傷の真紀が不機嫌な顔をして答える

真紀「フレームアウトした瞬間に、こいつに庇われたのよ
   この翼に包まれてね!」

床にそっと真紀を降ろした死神は、何故か真紀に懐いていた

真紀「鬱陶しい、離れろ!」

怒鳴りつけるが、まったく意に介さずすり寄る死神

そんなやり取りをしている傍ら

桐子「加渓、加渓、ちょっとしっかりしてよ!」

加渓「ぅ、ぅ〜ん・・・鳥がぁ・・・鳥がぁ・・・・・」

桐子「加渓!」

未だ目を回し魘されている加渓に

桐子は心配で、何度も呼びかけている

その横で貴時は、音も無くゆらりと立ち上がり

貴時「ぶっ殺ス!!」

瞳に妖しい輝きを宿し、懐に忍ばせていた銃を構える

京次「ちょっ、ちょっと待て貴時!はやまっちゃいかん!」

エ父「そうだ、これは演技なんだから!な?」

エ母「そうですわ、いくら鳥に吹っ飛ばされたからと言って・・・」

貴時「鳥・・・(プチッ)」

何かが切れる音がする

エ父「母さん、何を言ってるんだ!たかが鳥とはいえ
   本気で目を回した貴時君に、その言い方はまずいだろう?」

貴時「・・・・(ブチブチッ)」

京次「もっと貴時に気を遣えよ!
   な、貴時?落ち着け?相手は所詮鳥なんだから」

貴時「(ブッツン!)」

ガァーン、ガァーン、ガァーン、ガァ−ン、ガァーン、ガァーン

死神しか目に入っていない貴時は
真紀や命が死神の傍にいるにも関わらず。銃をぶっ放す

京次「うわーっ、待て待て待て!!!」

エ父「お、落ち着けー!!」

エ母「早まっては、いけませんですわー!!」

必死になって貴時を押さえる3人に

貴時「離せー!!絶っ対にぶっ殺してやるーーーーーー!!!!」

物騒な事を言い、銃を撃ちまくる
幸い弾はあらぬ方向へ飛んでいく
そこへ、やっと目を覚ました圭が現れる

圭 「いやぁー、すっかりお待たせしちゃって・・」

ガチャーン

圭が手に持っていた水晶球が、突然粉々に砕ける

圭 「・・・・・・」

バターン

白目を向いて、再び気絶をする圭

運の悪い事に貴時が乱射した銃弾が、偶然にも水晶玉を打ち抜いたのだった

そんなすったもんだの中、一人存在を忘れられた出演者が

明美「あ、あたしの出番どこぉ?(泣)」

壁際で寂しく、途方に暮れていた

 

こうして、この日の収録は大混乱の末
十数時間に渡った撮影は、ようやく終わったのであった

やれやれ、先が思いやられるなぁ

一同「お前が言うな!!」

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続かない。。(爆)