(1989年8月頃)

 これを書いている5月16日18時44分から19時56分、まだウチの犬は生きております。

 ウチの犬は16歳(もうすぐ17歳)で、老衰だろうということです。

 16年前、母が拾ってきたのですが、暫く家の中で育てました。

 まだ子供で元気で、走り回ってました。

 その頃の事なのですが、私が漫画を書いていると、改心の作であるそのページを、犬が泥だらけの足で踏んだのです。

 慌てる私に対し、母は「そのうち懐かしい思い出になるから。」と、笑って言いました。 その頃、既に病気で犬を二匹ほど早くに死なせていたので、私は「それもそうか。」と納得しました。

 何気なく撮っていた写真とかが、犬の死後、懐かしくなることを知っていたからです。

 犬の足跡の付いたページは、そのまま残しました。

 その後、そのページを忘れることは無く、何時も、「犬の足跡の付いたページが、今だ思い出にならない私は、幸せ者だ。」そう思っておりました。

 一年半前に、犬が危険な状態から回復した後は、特にそう思っていました。

 今度こそ、犬に寿命をまっとうさせよう。 そう考えながら育てた犬が、もうすぐ寿命を迎えます。 犬の足跡が付いたページが、思い出になる時が来ました。

 当時、改心の作であったページも、今の私には取るに足らない絵が描いてあります。 でも、他のページは無くしても、犬の足跡が付いたページは、ずっと残しておくと思います。

 この度、死を迎える犬が、ウチに育てられて幸せだったと、病気ではなく寿命で死ぬのだと、そう信じたいです。

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 追記 2005年5月20日、夜、永眠

 

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