クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

『ギエエエッ!!』

 悪霊は、霧状に体を変化させて京次から逃れた。

 実体化するのを止めた悪霊を、京次には攻撃する術は無いが、それは悪霊とて同じ事で、そのまま悪霊は『黒い瞳』の本体へ逃げ帰った。

 一瞬、追いかけようとする仕種を見せた京次だったが、直ぐに思い直して足を止めた。

 三体の悪霊達が、ゆっくりと『黒い瞳』の本体、すなわち雪之絵命の体の中へと入っていく。

 京次が追わなかったのは、正しい判断だったと言わさせるおえない。

 辛うじて気配が読める程度の貴時でさえ解る。 悪霊達が本体に入るほどに、雪之絵命の体から発散される波動が大きくなっていくのだ。

 悪霊三体と、完全に一体化した姿こそ、本当の『黒い瞳』である。

0

「...親父。 俺がワザワザ言うまでも無いだろうが、今の黒い瞳は今までより遥かに強いぜ?」

 京次は、改めて娘の命の姿を見やり、気持ちが萎えそうになるのを、無理矢理奮い立たせた。

 命が元に戻り、悪霊を駆逐できるなら、自分が犠牲になるのも厭わない。

 そう考えて、エデン母からの情報もあり、雪之絵真紀よりも若干早くこの場所に辿り着けたが、貴時が居たのが大誤算だった。

 貴時に”父親を殺す姉の姿”を見せ付ける訳には行かない。

「親父?」

 時間は少ししかない。 

 雪之絵真紀がやって来る前に、『黒い瞳』を殺さず怪我させず倒す。

「まあ、任せろ。」

 京次はそう答えると、珍しく両手を持ち上げ、はなはだ独創的な形ながら”構え”を取った。

最終話 (その二十) 終、


前へ、   戻る、