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クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

 覚悟を決めて本来の自分、すなわちヒットマンに戻ったサラであったが、それでも加渓の戦闘能力は遥か上を行っていた。 

 だが、何よりサラを困らせたのは、今までと違う加渓の動きだ。

 雪之絵と戦った時の加渓は、自分を支点に巨大な斬馬刀を振り回していたが、 それがために、遠心力に縛られる結果となり、一定の場所から素早く動けず、雪之絵の攻撃を易々受けてしまっていた。

 しかし今の加渓は、むしろ斬馬刀よりも加渓本体の方が動きが大きい。

 雪之絵真紀に合格範囲と表された加渓のスピードではあるが、それはあくまで雪之絵と比べたらの話だ。 サラにしてみれば、加渓のスピードは充分に脅威である。

「くっ...」

ゴウ

 振り下ろした斬馬刀が、アスファルトにめり込む。 おかげで加渓は次の攻撃に移れない。

 サラは、これ幸いと、その場から離れる。 二人の間に 一息つける程度の距離が空いた。

「......」

「ふぅ...」

 サラは、チラリと自分の左義手に視線を走らせる。 この左腕の中には切り札として、強力な爆弾が仕込まれていた。

 タンガタングステン製の義手ごとふっ飛ばす威力を持つ、この爆発に巻き込まれれば、生身の加渓など瞬時にミンチである。

 使い方は簡単、左義手を外し、黄色い部分を捻って加渓に投げつけるだけでよいのだ。 右の義手にも、一応別の切り札は用意されているが、この状況を打開するには、左の爆弾の方が手っ取り早い。

「左の義手か...」

「不思議と勿体無い気がするのよね。」 

 サラは苦笑いの後、右側の義手に手を伸ばした。

こちらにも、一応使える物が仕込んである。

「!!」

ガキン

「間接を狙われた!?」



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