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クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

「!!」

 突進にブレーキをかけて、辛うじて首を跳ねられるのを逃れた加渓は、己の中のタケ子が、本能で生命の危機を感じたのか、無表情のはずの顔から血の気が引いた。

 テコの原理を利用し、膝の上に乗せた斬馬刀を、雪之絵は腕の三倍の力を持つと言われる足を使って振り回す。

 雪之絵の斬馬刀での攻撃は、単発では終わらない。 加渓は、正面左右、果ては上下から繰り出される太刀筋を避けまくる。

 拳や蹴りと違い、一撃で死は免れない。 後ろで見ているカズ子も、真っ青になり寒気を感じながらも、体中汗を滲ませた。

 陸刀家は、力だけなら雪之絵血統以上。 いつもは鳳仙の呪術で押さえているが、戦いの時はその力を開放する。 更に、普段三十パーセントの力しか発揮していない筋肉を、これも鳳仙の呪術によってリミッターを切り、百パーセント開放する。

 これが、陸刀の戦士が超人レベルで戦かえる理由なのだが、今の加渓は、まだ筋肉のリミッターは切っていない。

 元々、筋肉のリミッターは、自身の力で己の筋肉を壊してしまわないようにと掛けられているものだ。  それでなくても強力な加渓の力、筋力全開で戦わせたら、いつ筋肉が破壊されるか解ったものではない。

 だからカズ子は、加渓の筋肉のリミッターを外す事は、なるべくしたく無かった。

「加渓!!全開よ!!!」

 加渓をフルパワーで戦わせたくはなかった。 自分自身の力の為に筋肉が破壊されるまで、そんなに時間は残されていない。

 しかし、雪之絵真紀の実力を目の当たりにして、そんな甘いことは言っていられないのだ。

「加渓!!アケミさんの為にも、私達は絶対負ける訳には行かないのよ!!!」

「ふん、」


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