エデンの父親に、無造作に近づいて行った貴時だったが、微妙な距離を残した所で立ち止まった。
その距離10メートル少々。 皆月京次ならば、一瞬で詰められる距離であるが、エデンの父親は、それよりは若干遅いと見た貴時の、ギリギリ安全を保てる距離である。
「どうするつもりなんだ? あの子供は...」
「エデンの父親が、銃弾を容易く避けたのは見ただろう? 二丁拳銃にした所で、結果は変わらないぞ。」
確かに、銃弾を避けるエデンの父親の姿を、高森夕矢は誰よりも近くで見ていた。
現在、手にしている二丁の拳銃。
これを乱射すれば、反撃の暇は与えないであろうが、それも弾が切れるまでの間だけだ。
一丁の拳銃に弾丸は六発の、計十二発。 その十二発全部を、エデンの父親は事も無げに躱して見せるだろう。
そして当然ながら、弾の切れた拳銃に、新たな弾の補充を認めてくれるはずもない。
「!?」