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「いえ!!僕に解るはずがありません!!京次さんですら、見失っていますから!!」
遠巻きに、京次とサラメロウの様子を眺めながら、命と高森が叫ぶ。
小判ザメは、常に京次の死角にある影に隠れた。
京次自身の影。 建物の影。木の影。 そして、サラメロウの影だ。
普通ならこんな時、京次は気配を読んで敵の位置を見つけるが、小判ザメは、その気配をほぼ完全に消して見せた。
座禅でも組んでいるならいざ知らず、戦いの最中に気配を消すというのは、見事としか言いようがない。
京次が、微かな気配を頼りに小判ザメの居場所を見つけても、その時はサラメロウの影に隠れて別の場所へと移動するのだ。
正に蜃気楼を追っている気分である。
京次は途中から、小判ザメの位置を探すのをやめた。
「命も、高森も、そう騒ぐな。」
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「これで、コイツが使えるのは片腕だけ!!」
「小判ザメ!!全力で行くわよ!!」