,り
命は、母親の雪之絵 真紀から貰った三つの物を、今でも大切にしている。
一つは、直接結ってもらった事もあるツインテールの髪型。
一つは、高校生が使うには幼すぎる赤いビー玉の付いた髪を結わえるゴム。
『遊び半分だよ。』 命は、強くなった理由を聞かれて、そう答えた。
ある意味、とても失礼な答え。 しかし命は本気だった。
かつて命が母親の元を離れ、皆月京次の所に転がり込んだ時、他に行き場所がない命は、京次に気に入られる方法を考えた。
京次に嫌われたら、本当に一人になってしまう。 そんな恐怖に駆られながら自分を好きになってもらう方法を考えた。
片や小さな女の子に慣れていない京次と、それまで男親なしで育って来た命の接点など皆無。
そんな中、やっとの思いで見つけた、たった一つの共通点。
命は、皆月京次との絆を深める為に、結果として強くなった。
それは、命にとって、大好きな人と一緒に遊べる大切な時間。
なぜ強くなったのか。 もし聞かれた相手が皇金でなかったら、命はきっと、こう答えた事だろう。
る
「それにしても、本当に捻り込んだコークスクリューキックなんて初めて見たわ。」
命と皇金の戦いを、一部始終眺めていたサラメロウが半ば呆れ顔で呟いた。
「まぁ、何にしても今回は、私のミス。」
その四に続く、