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目を血走らせた雪之絵が、その怒りを押さえながら、ゆっくり近づいて来るのを見て、エデン母の顔色が一変した。
雪之絵は、怒りが力に変換されるタイプである事は、エデン母も先ほど直に戦ってみてよく解っている。 だが、怒りに任せた攻撃というのは、得てして単調で強引なものだ。
感情に体が振り回され、ほんの一瞬隙が出来る。 エデン母のレベルだと、その一瞬の隙を突くぐらいは、実に容易い。
先ほどまでの雪之絵は、正に『感情に、体が振り回されている。』状態だったのだが、ゆっくり歩いて近づいてくる雪之絵は、それとは確実に違う。
雪之絵真紀をよく知る皆月京次なら、この彼女の状態を、『意志と目的が感情を餌にした。』と答えるだろう。